ハリス氏の経済政策に警戒感 史上最高の「富裕税」と法人税率引き上げを提案

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●7%の法人税率引き上げ

米民主党の大統領候補、カマラ・ハリス米副大統領の選挙陣営は19日、11月の大統領選で勝利した場合、法人税率を現行の21%から28%に引き上げる方針を発表した。

ハリス陣営の広報担当者は、この措置は「働く人々の懐にお金を戻し、億万長者や大企業が公平に負担することを保証する、財政的に責任ある方法」の一環だと述べた。

超党派の擁護団体「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」は、ハリス氏の提案は、米国の財政赤字を10年間で1兆ドル(約145兆円)削減すると試算している。

現行の税率は、ドナルド・トランプ前大統領が2017年減税・雇用法に署名した後、35%から引き下げられたもので、2025年以降は失効する。しかし、トランプ氏は当選の暁には、減税を恒久化する誓約を掲げており、両陣営の違いが顕著になった。

●44.6%のキャピタルゲイン税

ハリス氏はまた、バイデン政権の2025年予算案で提案された、富裕層をターゲットにしたいわゆる「富裕税」を支持する方針も明らかにした。

予算案によると、44.6%のキャピタルゲイン税が適用されるのは、課税所得が100万ドルを超え、投資所得が40万ドルを超える個人に限定されるものの、キャピタルゲインに対する最高税率は39.6%に引き上げられる。

また、1億ドル(145億円)以上の資産を持つ富裕層に対しては、換金されていない投資の含み益に対しても、キャピタルゲインとして25%の税を課す提案がなされている。これは前代未聞の措置であり、資産管理業界を代表する出版社「IFCメディア」は、「通常の課税からの根本的な逸脱」と批判した。

実現されていない利益に課税された場合、投資家は税金支払いのために資産を売却せざるを得なくなるケースが発生する可能性がある。また、資産価値の変動により、課税された翌年には利益が消失し、金銭的な損失が生じることも考えられる。

このような政策はリスクが高いだけではなく、長期投資と経済成長に悪影響を与え、株式市場の暴落と新たな恐慌を招く原因となると危惧する声が上がっている。

●価格抑制策に批判の声

ハリス氏が中間所得層への支援策として打ち出した、食品価格のつり上げ禁止にも批判の声が上がっている。

同氏は16日の演説で、食品の過度な値上げを禁止する連邦法を作ると表明。この政策は2019年以降、食料品価格が全国で26%上昇したことに対する対応策として同陣営が打ち出したものだ。

この新たな措置により、連邦取引委員会(FTC)と各州の司法長官は、食料品価格つり上げに関連する問題に対処する権限を与えられ、「過度な」値上げを実施する企業に高額の罰金を課すことができるようになる。

これに対し、材料費の高騰や賃金上昇によるコスト急増に直面している食品メーカーは反発。また、全米食料品協会は声明で、小売業者もインフレの圧力に苦しんでおり、すでに極めて薄い利益率での営業を余儀なくされていると訴えた。

トランプ前大統領は、ハリス氏の提案を「物価統制」だと批判。「共産主義的な価格上限を実施すれば、かつてない飢餓や貧困に陥る」と主張した。

トランプ政権でホワイトハウス経済諮問委員会の委員長を務めたケビン・ハセット氏は、「ハリス氏の価格抑制計画は、政府に価格を決めさせることと同然であり、社会主義国を悩ませてきた食糧不足やひいては飢餓につながる」と語った。

SNSでも、カマラ氏の政策に対し、「社会主義の危険性」として警鐘を鳴らす投稿が散見される。

(イメージ写真提供:123RF)

https://coinpost.jp/?p=552986

CoinPostに掲載された記事を、許可を得て転載しています。

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