米ブロックチェーン協会ら、仮想通貨業界の声をまとめSECを提訴―ディーラー規制の拡大解釈巡り

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●SECを提訴

米ブロックチェーン協会(BA)とテキサス州暗号資産自由同盟(CFAT)は23日、米証券取引委員会(SEC)が新たに制定したディーラー規則の拡大阻止を求めて、SECを提訴した。ディーラーとは、証券の売買を業として行う個人または組織を指す。

BAとCFATは、SECの規則制定は「恣意的かつ気まぐれ」であり、米国の暗号資産(仮想通貨)業界に対する「的外れな攻撃」であると主張している。

SECは公正で透明性のある規則制定プロセスを経てた上で、業界参加者に明確に伝達されるべき規則を示しておらず、行政手続法(APA)に違反しているとして、両団体は、SECのディーラー規則を無効とする裁判所命令を求めている。

ブロックチェーン協会のクリスティン・スミスCEOは声明で、ディーラー規則の制定は、SECがその権限外の規制を違法に行おうとする露骨な試みの最新の例だと指摘し、次のように述べた。

"ディーラー規則はSECの反デジタル資産運動を推進し、議会から付与された法定権限の境界を不法に再定義するもので、米国企業を海外に追いやり、米国のイノベーターに恐怖心を煽る恐れがある。"

●曖昧で広範囲にわたる基準の適用

原告団は、SECが1934年に証券取引法で定められた「ディーラー」の定義を違法に拡大解釈し、長年にわたり理解されてきたこの用語とは「似つかない参加者」を引き込むことになると危惧している。

また、SECはディーラーの定義の拡大にあたって、パブリックコメント中に寄せられた多数の懸念に対処せず、法的に義務付けられている経済分析を実施しなかったことは、行政手続法(APA)違反にあたると批判した。

新たな規則では、個人の取引活動が市場に流動性を提供する効果があるかによって、ディーラーを特定するという「曖昧でより広範囲な基準」が適用されるため、「デジタル資産取引に参加する数千万人の米国人や企業に取り返しのつかない損害を与えるアプローチだ」と原告団は主張する。

"この規則は取引の事後効果にのみ重点を置いているため、「ディーラー」の新たな定義は、デジタル資産の流動性プールに単に参加するだけのユーザーも含め、あらゆる種類のデジタル資産市場参加者にまで及ぶ可能性がある。"

●ディーラー規則の拡大

問題となっているディーラー規則は、今年2月、SEC委員による投票が行われ、3対2で賛成が上回り、採択された。

この規則は「特定のディーラーとしての役割に従事する市場参加者、特に市場で重要な流動性提供の役割を担う市場参加者に対し、SECへ登録し、自主規制組織の会員となることを義務付け、連邦証券法と規制義務の遵守を求める」ものだ。

この規則では、ディーラーの定義が拡大され、「取引される証券の種類ではなく、個人が行う証券取引活動に基づく機能分析」によって、ディーラーに該当するか否かが評価される。

SEC委員の中でこの規則に反対したのは、マーク・ウエダ氏とヘスター・パース氏。

ウエダ氏は、このアプローチでは、通常業務の一環として証券を売買する場合、誰でも「ディーラー」になることが可能なため、仮想通貨証券を含む他の市場に規制上の更なる混乱を引き起こすと批判した。

パース氏は、「流動性の提供が市場参加者へのサービスという形ではなく、取引活動の効果として行われるようになると、ディーラーとトレーダーの区別が理解できなくなる。」と指摘。「多くの一般的な取引、投資、リスク管理戦略のいずれかを実行するだけで、市場に大量の流動性が提供された場合、市場参加者がディーラーに変わってしまう可能性」があるため、顧客として与えられていた保護も失うことにつながりかねないと懸念を表明した。

さらに、同規則は仮想通貨市場での実際の適用に関しては、ほとんど考慮されていないと付け加えた。

ディーラー規則は4月29日に発効し、1年後に準拠が義務付けられる。

(イメージ写真提供:123RF)

https://coinpost.jp/?p=526715

CoinPostに掲載された記事を、許可を得て転載しています。

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