ボイジャー・デジタル、裁判所の承認を得て凍結資金の返済開始へ
破たんした暗号資産(仮想通貨)貸し手のボイジャー・デジタルは、資産を自己清算し、凍結資金の一部を顧客に返済し始めるための承認を裁判所から得た。
FTXとバイナンスUSによる買収取引が決裂してから数カ月後となる5月17日、米破綻裁判所のマイケル・ワイルズ判事は、マンハッタンでの法定審問でボイジャーの清算計画を承認した。
顧客は未払い金の約36%の返済を受ける見込みで、バイナンスUSによる買収計画が成立していた場合の推定回収率72-73%よりはるかに低くなっている。
しかし、破たんした暗号資産取引企業アラメダ・リサーチがボイジャーから4億4600万ドルの資産を回収できなかった場合、この回収率は上昇する可能性がある。
これとは別に、ボイジャーの弁護士は訴訟費用、管財費用、その他保留金のため、2億5960万ドルを確保している。
ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)など67銘柄のいずれかを同社プラットフォームに保有する顧客は、前述の割合で資金を直接引き出すことが可能になる。
しかし、同社で保有される暗号資産のうち、引き出しできないものは清算され、顧客に返却される予定だ。これにはアルゴランド(ALGO)、セロ(CELO)、アバランチ(AVAX)などの主要暗号資産も含まれる。
ボイジャーの公式無担保債権者委員会は、早ければ6月までに引き出しを行えるようになると伝えている。
●ワイルズ判事、「この清算には誰も満足していない」
ボイジャー顧客は、今回の清算に満足しておらず、破産費用、弁護士費用、顧客への暗号資産の一部返還について不満を漏らしている。
ワイルズ判事は、この清算には誰も満足していないことを認めた上で、清算は唯一の道であったと述べている。
「後悔先に立たずである。もっといいことが起きていたらと誰もが思うだろう。私たちは今いる場所で、最善を尽くそうとしている」
ボイジャーは、破たんした暗号資産ヘッジファンド3AC(スリー・アローズ・キャピタル)に巨額の融資を行っていたことなどにより22年7月に破産を申請。それ以降、投資家に資産を返還する方法を模索してきた。
最初、FTXがボイジャーの資産を引き継ぐ承認を破綻裁判所から得たが、同社はその直後に破たんしてしまった。
その後、バイナンスが手を挙げ、10億ドルでの買収を提案。
しかし、同社はつい最近、米SEC(証券取引委員会)とニューヨーク金融規制当局が買収計画を阻止しようとした後、米国での「敵意的な」規制環境を理由に買収を取りやめた。
「われわれがこのプロセスを通じて望んでいたことは、ボイジャーの顧客が保有する暗号資産にアクセスできるようにすることだったが、米国における敵意的で不明瞭な規制環境は、米国のビジネスコミュニティ全体に影響を与える予測不可能な運営環境をもたらした」とバイナンスは4月に述べていた。
とはいえ、ボイジャー顧客の回収率は非常に低い。これと比較して、また別の破たんした暗号資産プラットフォームであるセルシウスの債権者は、保有資産の70%を取り戻すことができると推定されている。
(イメージ写真提供:123RF)
This story originally appeared on cryptonews.com.
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