米共和党の「規制の明確化を目指す」仮想通貨法案、21の利益団体が反対表明
●下院委員会に書簡
米下院金融サービス委員会で審議中の暗号資産(仮想通貨)法案に対し、21の利益団体は強く反対する意向を公開書簡で表明した。11日付で同委員会および下院農業委員会宛てに送られた書簡によると、同法案は「"暗号イノベーション"の名の下に、消費者と投資家の保護を弱める」ことにつながると批判している。
書簡を送ったのは、アメリカ消費者連盟、シンクタンクのパブリック・シチズン、経済的公正と人種的平等を主張するウッドストック研究所、企業説明責任ロビー団体のアメリカン・エコノミック・リバティーズ・プロジェクト、ウォール街への規制強化を働きかけている金融改革アメリカンズなどの21団体。
書簡では、FTXの崩壊など「業界の傷の大半は自ら招いたもの」で、基本的な財務管理の欠如と詐欺が横行したことが原因だと指摘。仮想通貨は「14年経っても、投機的な投資以外では、実行可能なユースケースを示すのに苦労」しており、「仮想通貨の晴れ舞台は常に地平線の彼方にある」と揶揄した。
「仮想通貨業界の集中的なロビー活動」により、「急進的な」法案が8月の休会前に金融サービス委員会を通過する可能性があると反対派は危惧しているようだ。
●法案の問題点
書簡では以下の点を法案の問題点として指摘している。
・証券取引委員会(SEC)の使命と権限の変更:「革新性」を基準として新規規則の評価を義務付け=「危険なアプローチ」で、SECの権限を弱める
・未登録株式発行の青写真となる:一定の条件で分散型ネットワークと認定され、証券規制からの免除を可能にする
・伝統的な金融機関が、分散型ネットワークの条件を満たすことでより厳格な規制の監督を回避可能に
・仮想通貨「商品」として自己認証可能なプロセスにより、SECではなくCFTC(商品先物取引委員会)の管轄を求める仮想通貨企業の急増が予想される
・CFTCに仮想通貨・取引業者に対する規制権限を付与するが、その任務が曖昧で狭い範囲に限定されている
・CFTCの責任は重くなるが、その活動を支える予算は増えない
・仮想通貨証券に対する規制要件の緩和=年間売上高7500万ドル未満の仮想通貨発行者には大幅な規制免除が認められる=価格操作につながる恐れ
・SECとCFTCが規制を制定するまで、仮想通貨プラットフォーム・発行者に対して、仮登録が可能な「セーフハーバー」を設ける=コンプライアンス違反の黙認につながる恐れ
書簡は、この法案が「病気よりもはるかに悪い"治療法"」の導入につながり、仮想通貨業界以外にも重大な弊害を生み出すと警告。消費者保護のために、議会がとるべき「最善の措置」は、新たな法案ではなく、「既存のルール」を適用する「規制当局の継続的な努力を支援」することだと主張した。
●規制の機能的な枠組みの確立
上記の利益団体が反対しているのは、下院金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー委員長と下院農業委員会のグレン・トンプソン委員長(共に共和党)が、6月に提案した討議草案。マクヘンリー氏は、この草案は「適切な消費者保護を提供しつつ、明確性を提供し、規制のギャップを埋め、イノベーションを促進することを意図したデジタル資産規制の法的枠組みを提供する」と説明している。
草案は、仮想通貨の分類(商品VS 証券)のための道筋を示すとともに、決済用ステーブルコインの規制の枠組みにも踏み込んでいる。この枠組みでは、「機能的で分散化されていると見なされる」デジタル資産を「デジタル商品」と認め、企業の分散化に関する異議がある場合、SECに「詳細な分析」を提供するよう求める。
6月半ばに下院金融サービス委員会で開かれた公聴会では、米サークル社やAva Labsが証言を行い、法案に対するサポートを表明した。
(イメージ写真提供:123RF)
CoinPostに掲載された記事を、許可を得て転載しています。
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