EUがDAC8を採択、暗号資産の新たな税務報告ルールが近く発効

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 EU(欧州連合)の財務相らが、税務当局への顧客の保有暗号資産(仮想通貨)データの提出を暗号資産企業に義務付ける、新たな規制を承認した。

 EUは17日、24年に発効する予定のDAC8(行政協力指令第8版)を採択した。この指令は、法律行為に関するEUの官報である欧州連合官報に掲載される予定で、掲載から20日後に施行される。

 DAC8は、CASP(暗号資産サービス・プロバイダー)に対し、顧客が居住するEU加盟国の税務当局に顧客の取引に関する一定の情報を報告するための新たな指針を示している。

 22年に提案され最近承認されたこの指令は、特に富裕層が納税義務を軽減するために暗号資産を利用する場合の脱税に対抗し、税の透明性を高めることが目的だ。

 正式名称をDAC8というこの税務規則は、22年12月8日に欧州委員会に提出されていた。

 MiCA(暗号資産市場)規制が制定された後の5月に、DAC8は承認された。DAC8の「8」はこの指令が第8版であることを示しており、過去の版はそれぞれ、金融監督の様々な側面に対処するものだった。

 DAC8は、暗号資産市場及びAML(マネーロンダリング対策)規則に関する既存の規制を補完するためのもので、EU内の暗号資産業界を規制する包括的な枠組みを提供する狙いだ。これは、規模に関係なくEU内に拠点を置く全てのCASPに適用され、電子マネーやCBDC(中央銀行デジタル通貨)を取り扱う金融機関も対象となる予定だ。

 EU加盟国内で個人や団体が行う全ての暗号資産取引を監督・評価する権限を税務当局に与えることが、DAC8の目的だ。草案では、この指令が、様々なデジタル資産を網羅するよう既存の法律を拡張するものであることが明らかになった。

 この指令の対象は、ステーブルコイン、NFT(非代替性トークン)、電子マネー・トークン、「分散型の形式」で発行される暗号資産、DeFi(分散型金融)関連トークン、暗号資産のステーキングによる利益にまで及ぶ。

●欧州委員会、MiCAやAML規則と相乗効果のあるDAC8の暗号資産規定を強調

 欧州委員会は、DAC8の暗号資産規定は、最近最終決定したMiCAや、TFR(資金移動規制)の下で成立したAML規則と連携して機能するよう設計されていると強調した。

 MiCAの下で、暗号資産企業及び取引所は、EU内で営業許可の取得を義務付けられている。この規制はさらに、ステーブルコインの発行者に対し、安定性と安全性を確保するための適切な準備金の維持を義務付けている。

 フランスのストラスブールで9月に開催された本会議で、欧州議会の議員らは圧倒的多数でDAC8を可決した。

 この投票では、535票が賛成で反対はわずか57票、棄権が60票と、強い支持が確認された。この本会議投票は、DAC8通過への最後のハードルだった。

 EU加盟国は今後、25年12月31日までにこれらのルールを導入し、26年1月1日に正式に施行する必要がある。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/eu-adopts-dac8-new-cryptocurrency-tax-reporting-rule-take-effect-soon.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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