米デジタル商工会議所、対SEC裁判でバイナンスを支援

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●バイナンス擁護の法廷助言書

米国のデジタル商工会議所は19日、米証券取引委員会(SEC)対暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスの裁判で、バイナンスを擁護する法廷助言書(アミカス・ブリーフ)を地方裁判所に提出した。

デジタル商工会議所はデジタル経済とブロックチェーン技術に関連する企業や団体のための業界団体の一つ。デジタル商工会議所の主張によれば、SECに越権行為があり、証券法の定義を証券市場に関係のない分野にまで拡大している可能性がある」と申し立てた。

過剰規制は米国内のイノベーションを阻害し、業界参加者の米国外への移転・人材流出を促すことにもつながると警鐘を鳴らしている。

●「トークン自体は証券ではない」と申し立て

アミカスブリーフの主な焦点は、有価証券を構成する「投資契約」の定義にあった。SECは、有価証券を未登録で提供・販売したなどとしてバイナンスを訴えているところだ。

デジタル商工会議所は、これまで米国の裁判所は一般的に、トークンを含め投資契約の対象となる商品自体は、投資契約あるいは証券ではないという判例を示してきたと指摘した。

SECがバイナンスに対して訴訟を起こすことは、オレンジなど果物を販売する食料品店や、アマゾンのようなオンライン電子商取引市場を訴えるようなものだと述べている。仮想通貨のトークンは、オレンジなどの果物と同様に、それ自体は有価証券ではないと主張している。

例えば、過去の最高裁で、フロリダの柑橘畑の権益の提供をめぐる判例があった。その際には、フロリダの柑橘畑に関する利益分配を受ける権利などについては「投資契約」とされたが、柑橘畑や、果実そのものが「有価証券」にあたるとはみなされていなかった。

デジタル商工会議所は、こうした例を参照しつつ、以下のように続けた。

『SECは、投資契約そのものと、その契約の対象物との区別を崩そうとしているが、一般に取引所で取引可能なトークンは、証券をあらわす「契約、取引、スキーム」ではない。

SECは、取引所で取引されるトークンが、その保有者に利益を受け取る権利を付与するものであるとは主張しておらず、またそう主張することもできない。』

トークンを証券とみなすのであれば、それと同様にオレンジやウイスキーなど投資契約の対象となる可能性のある商品や資産まで証券性を持ち、SECの管轄対象になってしまうことになるが、そうしたことは不可能だとも論じている。

●明確な規制の必要性

デジタル商工会議所は、仮想通貨に対する明確な規制枠組みが必要であると唱えた。米国議会が、消費者保護とイノベーションを両立させるための立法を行っていくべきと強調する格好だ。

規制を明確化しようとする試みは議会で開始されている。7月には米下院農業委員会が「21世紀のための金融イノベーションとテクノロジー法」を可決した。現在は下院の審議を待っているところだ。

この法案は、SECと米商品先物取引委員会(CFTC)が、仮想通貨に特化したルールを共同で作成することを求めている。また、一定の条件を満たすことを条件に、トークン販売について証券法の適用免除を認める内容も盛り込んだ。

――リップル社の事例

米地裁は7月、仮想通貨XRPの証券性をめぐるリップル社対SECの裁判において、トークンとしてのXRP自体は有価証券ではないとの判決を下している。なお、機関投資家への販売については、証券にあたるのSECの主張を認めた。

(イメージ写真提供:123RF)

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CoinPostに掲載された記事を、許可を得て転載しています。

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