米財務省、ハマスがテロ資金調達に暗号資産利用との主張を撤回

Hamas_133545982_m_normal_none.jpg

 米財務省のブライアン・ネルソン次官(テロ・金融インテリジェンス担当)が、下院金融サービス委員会での証言で、メディアと連邦議員らが、ハマスがテロ活動資金調達に暗号資産(仮想通貨)を利用しているという報道を誇張していたと認めた。

 14日の公聴会では、ハマスが暗号資産を使って「多額の資金」を調達しているとするWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)の報道への言及があった。暗号資産に懐疑的な連邦議員らは、業界への監視強化を主張する口実としてこの報道を利用した。

 しかし、共和党のトム・エマー議員の質問に対し、ネルソン氏は「広く報じられている金額に比べて、ハマスが利用している暗号資産は比較的少額だ」というエマー氏の主張を認めた。

 ネルソン氏は続けて自身の言葉で、「実のところ、テロリストは依然として伝統的な商品やサービスを好んで利用している」と明言した。

 このWSJの失態は、調査対象のウォレットの総額から、ハマスとイスラム聖戦への資金流入を分離し忘れたデータを、誤って解釈したことが原因だ。

 テロ組織に渡った具体的な金額を問われたネルソン氏は、「正確な数字や見込値については、極秘での話はできると思う。彼らが依存している暗号資産サービス事業者や、彼らが以前から依存している暗号資産を利用する傾向がある金融業者を特定する上で、良い仕事をしたと考えている」と返答した。

 エマー氏は続けてネルソン氏を詰問し、「一部の上院議員が(WSJの失態に)基づいて文字通りこの国のイノベーションを破壊する法案を起草しようとしている」ため、財務省には記録を公表する義務があると述べた。

●テロリズムと人身売買:暗号資産の暗黒街

 WSJの誤解は別として、暗号資産は犯罪経済を促進する役割を果たしている。

 メディアや米国政府の暗号資産批判者はハマスとの繋がりを誇張しているが、それは依然として存在している。米財務省の24年国家リスク評価によると、世界中のマネーロンダリングやテロ活動における暗号資産の役割は増大している。

 ハマスによる23年10月7日のイスラエル攻撃の被害者の一部の家族は、この武装勢力の資金移動を助ける役割を果たしたとしてバイナンスを訴えている。

 米国の検察も、KYC(顧客確認)及びAML(マネーロンダリング対策)ポリシーが不十分だったとしてバイナンスとチャンポン・ジャオ元CEO(最高経営責任者)を提訴し、アルカイダ、ISIS、児童ポルノ製作者、そして世界中の様々な制裁対象者が同取引所を通じて資金を洗浄していると主張した。

 2月のレポートでは、米財務省のFinCEN(金融犯罪捜査網)が、オンラインでの児童搾取や人身売買事件の95%で暗号資産が使われていると述べた。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/u-s-treasury-backtracks-on-claims-of-hamas-using-crypto-for-terrorism-financing.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

最新記事
ランキングページ
ビットコイン詳細ページ
イーサ詳細ページ
XRP詳細ページ