バイナンスのリチャード・テンCEO、市場参入の課題に対処するため訪韓

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 バイナンスのリチャード・テンCEO(最高経営責任者)が、韓国の金融当局と直接対話し、同社が韓国市場参入で直面している課題の解決策を見出すため、同国を秘密裏に訪問した。

 ニュース1の報道によると、テン氏は日程は不明だが先週韓国入りし、滞在中にFIU(金融情報分析院)の関係者などの金融当局と対話するつもりだ。

 韓国の暗号資産(仮想通貨)取引所ゴパックスの持分過半数を取得することで、取引量の多い韓国市場と直接繋がろうとするバイナンスの計画が暗礁に乗り上げる中、今回の訪問が行われた。

 バイナンスは22年末、韓国市場への参入戦略の一環として、ゴパックスを買収した。

 しかし、金融当局によるゴパックスの暗号資産事業変更報告書の受理は1年以上遅れており、バイナンスの市場参入計画は遅延している。

 ゴパックスを買収するというバイナンスの決断は、FTX事件後にゴパックスが暗号資産預入サービスの「GoFi」でユーザーの資産を返還できなくなったことによるものだ。

 バイナンスは支配株主となり、バイナンス・アジア・パシフィックの責任者だったレオン・シング・プン氏をゴパックスのCEOに任命し、GoFiの負債の責任を負った。

 FIUに暗号資産事業変更報告書が提出されたが、この買収に関する決定は延期され続けている。

●FIU、ゴパックスに関する決定を延期し続ける

 ゴパックスはその後、CEOをイ・ジョンフン元CEOに変え、再度変更報告書を提出したが、FIUは決定を遅らせ続けた。

 その後、コスダック上場企業のBFラボがバイナンスの持分の一部を取得し、再度ゴパックスにCEOを交代させた。CEOとなったのは、シティ・ラボのチョ・ヨンジョン元CEOだった。

 FIUがゴパックスの変更報告書を受理したがらない理由は、バイナンスの法的リスクに対する懸念にある。

 バイナンスは最近、米司法省に43億ドルの罰金を科せられ、「支配株主」としてのバイナンスの資格に疑問が生じた。

 FIUは24年下半期に暗号資産事業再建計画報告書の審査対象を「支配株主」に広げようとしており、特定金融情報法の改正を提案している。

 FIUの強硬姿勢に対し、バイナンスは24年、ゴパックスの持分を一部売却し、支配株主の地位を放棄する決定を正式に発表した。

 さらに、FIUは最近、ゴパックスの実名口座提携銀行である全北銀行に対し、ゴパックスのガバナンス構造の改善案を3月末までに提出するよう求めた。

 ゴパックスは3月、バイナンスの持分を減らしてGoFiユーザーの所有権を増やすために、「Gopai」ユーザーに対し債券を株式に転換するよう求めた。

●テン氏、訪韓でガバナンス改善を議論

 リチャード・テンCEOは訪韓中、ガバナンス構造の改善を政府関係者と話し合い、ゴパックスを救う戦略を立案したいと考えているという。

 MAS(シンガポール金融管理局)に務めていたテン氏は、バイナンスCEOに就任して以来、コンプライアンスを最優先にしてきた。

 韓国金融当局との直接の対話は、同氏のコンプライアンスへのコミットメントを反映したものかもしれない。

 注目すべきことに、テン氏はバイナンスCEO就任以前、米国外地域担当の地域市場マネージャーを務めていたとき、韓国を訪れゴパックスや全北銀行の関係者らと協議したことがある。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/binance-ceo-visited-south-korea-to-address-market-entry-challenges.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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