ECB理事がアップルにiPhoneのデジタルユーロ対応を求める
ECB(欧州中央銀行)の理事会メンバーは、米アップルに対し、デジタルユーロに対応するためにiPhoneの決済方法を変更するよう求めている。同理事は、アップルの現在のシステムが欧州CBDC(中央銀行デジタル通貨)のオフライン決済に対応していない可能性があると指摘している。
ピエロ・チポローネ理事は19日、EU反トラストの責任者であるマルグレーテ・ベスタガー氏宛ての書簡で懸念を表明した。
「アップルの提案は、サードパーティにSE(セキュアエレメント)への完全なアクセスを与えるものではなく、HCE(ホストカードエミュレーション)の使用のみを許可するものである」と同氏は述べた。SEとは、セキュリティ強化のために設計されたチップのことである。デバイス内の小型金庫のような機能を持ち、一般的にスマートフォンやタブレット、特定のクレジットカードに搭載されている。
また同氏は、アップルの提案はアップルペイと同程度の認証・取引速度を提供しない可能性があると考えている。
記事投稿時点、アップルはクリプトニュースの取材に応じていない。
●iPhoneのNFCアクセス制限、デジタルユーロに摩擦生む
チポローネ氏は、現在のところアップルの提案はサードパーティの決済ソリューションにとって公平な競争条件を保証するものではないと主張。これは特にiPhoneを使った店舗決済で言えることだ。これらの提案がデジタルユーロに適用された場合、iPhoneでのユーザーフレンドリーな決済機能は保証されないだろうと同氏は述べた。
同氏はまた、アップルに対するEUの反トラスト調査の限界についても言及。この調査は、個人間決済を含むさまざまな決済状況におけるNFC(近距離無線通信)技術へのアクセス制限には対処していないと同氏は指摘した。
「このユースケースはデジタルユーロにとって極めて重要である」と同氏は述べた。
●ECB、デジタルユーロのセキュリティチップへのオープンアクセスを推進
チポローネ氏によると、デジタルユーロ規制案では、機器メーカーと電子通信サービスプロバイダーに対し、機器内のSEへの公平かつ合理的で差別のないアクセスを提供するよう求めている。
同氏は、このアクセスは制限されるべきではなく、他のモバイルOSアプリに依存したものであってはならないと主張。そうすることで、モバイル機器でのデジタルユーロ決済がユーザーフレンドリーなものになるという。
欧州委員会は、デジタルユーロの基礎となる法律の草案を発表した。草案では、基本的な基準の確立や、発行に必要な法律の準備について記されている。
23年後半、ECBはデジタルユーロ発行に向けた2年間の準備フェーズを開始した。このフェーズでは、規制の最終化、民間の協力者の選定、テストと実験などが行われる。
(イメージ写真提供:123RF)
https://cryptonews.com/news/iphone-not-compatible-with-digital-euro-ecb-board-member.htm
This story originally appeared on cryptonews.com.
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