実用ベースのNFT、メディア・エンターテイメント分野における実世界の問題を解決

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 4月、22年のグラミー賞でアーティストのナズ氏が「Rare」という曲をメドレーで披露した。同楽曲は以前、トークン化されたロイヤルティを得ることができるNFT(非代替性トークン)販売が行われており、配信権の一部を有する視聴者がいるかもしれないということで、注目すべきものであった。

 1月、ナズ氏はストリーミングロイヤルティの所有権付きの限定版NFTとして、2つの楽曲をリリース。50ドルの所有権持分ではストリーミングロイヤルティの0.0143%を、4999ドル分の購入で2.14%を獲得することができた。

 この非常に実用的なNFTの使い方は、規制が許す限りメディア・エンターテイメント業界で一般的になっていくだろう。主にアートやコレクターズアイテムの所有権に利用されているNFTだが、BC(ブロックチェーン)が持つ優れた記録保持システムと最先端の機能により、画像や映像などの所有権だけでなく、実用性を提供する可能性も有している。例えば、転売、ロイヤリティ、投票権、イベントへの参加、スマートコントラクトのトリガーなど、より複雑な活動に対する権利などの提供が挙げられる。

●NFTが解決できる課題とは?

 NFTは、スポーツや音楽、テレビ、映画などあらゆる分野において、暗号資産(仮想通貨)世界と物理的世界の架け橋を築く。NFTは、安定したプロトコルや、ロイヤリティとアクセス権のような機能を設計に組み込むことで、流通や所有権、報酬など、非常に特殊な課題や問題点を解決することができる。

 所有権

 JPEGやジェネレーティブアートも正当な使用例だが、NFTが持つ真の力は所有権やアイデンティティを表す能力にある。NBAのシーズンチケットをNFTとして所有することを例に考えてみる。BC上でその資産の所有権を明確にすることで、試合観戦、自宅での動画配信の視聴、売却、相続人への譲渡、メタバースや実世界における限定チームイベントへのアクセスする権利などを付与することができる。マーク・キューバン氏などの暗号資産愛好家は、すでにスポーツチケットプログラムにNFTを試験的に導入しており、実世界でのNFT利用には将来性があるといえる。

 重要な瞬間をおさめたNBAのNFTをユーザーが購入・売却・収集することができる「NBA Top Shot」も、保有するNFTが本質的にユニークなものであるという考えの中に、所有権の共有意識があるもう1つの例である。BCに基づくデジタル所有権というコンセプトには、NFTの大きな可能性を垣間見ることができる。

 消費者エンゲージメントとロイヤリティ

 スポーツ団体やチケット販売会社にとって、NFTは消費者エンゲージメントを高め、ロイヤリティやリピート購入プログラムを簡素化し、スポーツライセンスやその他の取引を効率化することができる新たな手段となり得る。例えば、プロサッカークラブの中には、暗号資産やNFTを使って、チームのユニフォームや、次の試合の開催場所などについての投票権を与えることで、ファンの権限を高めているところもある。商業的ものでは、経営者やMSEなどのスポーツ・エンターテイメント大手企業も、チケットのトークン化を検討している。実現すれば、試合の日に多くのファンをアリーナに集めると同時に、グローバル市場を取り込むことができるかもしれない。エアドロップ(トークンの無料配布)を行い、直接観戦したチケット保持者に報酬を与えることもできる。また、NFTとしてのスポーツ画像がすでに販売されていることからもわかるように、デジタルアイテム市場は巨大なものになっている(大規模なチケット販売の中でNFTを提供する機会も増えている)。

 消費者インサイトとインテリジェンスを深める

 歴史的にみると、ほとんどのプロスポーツ団体には、ファンやユーザーに関する確実なデータが不足しており、その結果として顧客との交流や価値のあるビジネスインテリジェンスを獲得する機会を逃してきた。台帳に組み込むことができるアイデンティティメカニズムやKYC(顧客確認)プロセスなどといった、BCが持つ検証可能な性質のおかげで、メディア・エンターテイメント分野の企業がファンに関する実用的な洞察を得て、顧客の関心を引き、リピートさせることができるという、全く新しい可能性が切り開かれた。

 新しい体験とビジネスモデル

 これらの利点は、音楽と映画にも当てはまる。特にインディーズ映画業界は、NFT技術を映画製作の資金集めに役立てるだけではなく、これら映画の株式を公募で販売する手段を検討している。その一方で、より規模が大きく主流なNFTコレクションは、長編映画になったり、映画契約やテレビシリーズが検討されるなど、ハリウッドに進出するものもある。

 ナズ氏やそのレコード会社のケースのように、トークン化はコレクターズアイテムや共有所有権といった機会を生み出す。さらに、没入体験や新たなビジネスモデルを通じて、企業やアーティスト、そしてファンの間のコミュニティ交流を深めることにもつながる。

 ロイヤリティと来歴管理の改善

 重要なことは、NFTはロイヤリティを巡る議論や支払い問題を解決し、海賊版を削減し、より倫理的なエンゲージメントを可能にするのに役立つということだ。究極的には、NFTはイノベーション、収益化、所有権の新たなソースを提供することで、アーティストやレコード会社、ファンを発展させることができる。

 アーティストと企業の双方にとって、NFTが鋳造されるBCの検証可能な確実性は、関係者全員が関わる来歴証明の問題などを解決することができる。すべてのNFTは、売却・取引・所有の全過程が完全に追跡可能であるユニークなデジタル資産であるため、NFTとして楽曲を販売するアーティストに加え、アーティストのライブやコンサートのチケットを販売する企業も、その販売について完全な信頼と可視性を得ることができる。

●実用的なNFTの未来に挑む

 トークン化は広く普及しているが、実用ベースのNFTクリエイターや所有者は、彼ら特定のニーズに合わせたBC、つまり多くの人々の参加を妨げている摩擦を取り除いたBCを必要としている。

 高速で低コスト、グリーン(持続可能)な性質、使いやすいことで知られる公開分散型台帳であるXRPL(XRP台帳)は、高額なガス代(手数料)を支払うことなく組織や個人が迅速かつ簡単にNFTを作成するのに理想的な台帳だ。NFTの活動があらかじめプログラミングされており、鋳造、バーン(焼却)、取引、自動化されたロイヤルりィはすべて台帳に組み込まれている。

 XRPLが生まれながらに持つ特徴は、消費者エンゲージメントが非常に高く、取引量の多いメディア・エンターテイメント業界にとって特に有用である。台帳上に作成されたNFTを動かすネイティブで流動性の高い暗号資産を備えた、高速かつ効率的な高処理能力台帳は、さまざまなユースケースに対応した企業向けNFTソリューションを迅速かつ簡単にスケールアップすることができる。

 機能的で実用ベースのNFTは、メディア・エンターテイメント業界の企業と個人のために、現在では他に類をみないレベルで有用性を高め、特殊で難しい問題を解決することができる。その可能性は無限で、それがNFTの応用とユースケースの成長と成熟に私たちが尽力している理由である。そして、実用ベースのNFTに選ばれるチェーンとして、私たちはXRPLに期待している。

 私たちは今後もパートナーや金融機関、企業と緊密に連携し、業界を超えた新たな暗号資産やトークン化のユースケースを模索していくと同時に、コミュニティにさらなるサポートを提供し、これらユースケースを実現するために、引き続きXRPLに大きく貢献していく。

 世界はまだNFTの表面的なことしか知らないといってもいいだろう。企業と消費者の両方にとって、この技術は業界を超えた実用的な応用とユースケースのさらなる発展を期待できるものである。

(イメージ写真提供:123RF)

https://ripple.com/insights/utility-based-nfts-solving-real-world-problems-in-media-entertainment/

This story originally appeared on Ripple Insights.

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