デジタルドルは銀行を弱体化させるという説得力ある論拠がない、と米銀行が主張

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 ABA(米国銀行協会)は、FRB(米連邦準備制度理事会)に宛てた書簡の中で、米国におけるCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の利点とされるものは「不確実で実現の可能性は低く」説得力のある論拠はないと述べた。この書簡は、CBDCは銀行のビジネスモデルを弱体化させる可能性があるとも警告している。

 この書簡の中で銀行は、米国版CBDCは「『ドルのデジタル化』には必ずしも必要ない、現在ドルの大部分はデジタルであるためだ」と論じ、CBDCは「銀行及び金融システムを根本的に作り直し」、国民とFRBとの関係も変えるとした。

 この書簡では「実際の経済におけるCBDCの開発、導入、維持に対する主要な政策的課題は、CBDCが既存の他の選択肢から得られる以上の利益をもたらす説得力のあるユースケースの欠如にある」との主張が展開されている。

 ABAはこの書簡の中でFRBに対し次のように述べた。

 「CBDC発行による影響の可能性を評価した結果、CBDCの利点と言われているものは不確かで実現の可能性が低い一方、その代償は現実的で深刻であることが明らかになった」

 同協会は次のように結論付けた。

 「この分析に基づくと、現在の米国におけるCBDCの説得力のある論拠は確認できない」

 一方、デジタルドルと呼ばれることが多い米国版CBDCに銀行が反対するもう1つの重要な理由は、それが民間銀行の預金と直接競合し、企業と個人の両者の残高の利用可能性が制限される点にある。

 CBDCは個人預金を民間銀行から引き離し、「FRBの口座に向かわせる」とこの書簡では述べられている。そこから資金を経済に貸し戻すことはできない、と銀行は警告した。

 個人預金は現在の銀行による資金調達の71%を占め、これを失えば「銀行のビジネスモデルの経済性が損なわれる」という。

 このABAからの書簡は、米国版CBDCの利点とリスクを論じたFRBの1月の文書を受けて出されたものだ。

 ジェローム・パウエルFRB議長はこれまで、民間のステーブルコインが米国版CBDCと共存し続ける可能性について矛盾したメッセージを出している。22年1月に公聴会で、パウエル氏は、FRB発行のCBDCと共に民間のステーブルコインが発行・利用されることを妨げるものは何もないと述べた。

 しかし同氏は21年7月には、CBDC発行によって米国がデジタル資産、特にステーブルコインの必要性をなくす可能性に言及している。

 同氏は当時、「特に、米国版デジタル通貨があれば、ステーブルコインは必要なく、暗号資産(仮想通貨)も必要ない。このことは、それを支持する最も強い論拠の1つだと思う」と語っていた。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/digital-dollar-would-undermine-banks-no-compelling-case-for-it-us-bankers-argue.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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