クレディ・スイスCEOが釈明、憶測飛び交う「破綻危機」噂の背景は

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●「全面的な戦略見直し」

スイスの金融大手クレディ・スイス・グループの将来を危ぶむ憶測が広がる中、同行のウルリッヒ・ケルナー最高経営責任者は9月30日、従業員に向けたメモで平静を保つよう呼びかけた。ブルームバーグが報じた。

"クレディ・スイスのウルリッヒ・ケルナーCEOは、同行の強みを強調する一方で、全面的な戦略の見直しに向けて「正念場」にあると述べている。"

ケルナー氏は、同行の「資本ベースや流動性の状況は強固である」と強調。史上最安値付近で推移している「日々の株価パフォーマンス」と混同しないようにと伝えた。また、10月27日の戦略見直しの発表まで、従業員には定期的に最新の情報を報告することを約束した。

戦略には、今年7月27日の発表を踏襲した以下のような施策が含まれるという。

・ウェルス・マネジメントのフランチャイズと資産管理事業の強化
・投資銀行事業の縮小:アドバイザリー主導のビジネスで資本の軽減を図る
・証券商品事業の再評価:第三者資本の誘致
・コストベースを中期的に約2兆2,800億円(155億スイスフラン)以下に抑制

クレディ・スイスは9月26日、「事業分離や資産売却の可能性を含む包括的な戦略の見直しが順調に進んでいる」との声明を発表したばかり。10月27日の第3・四半期決算発表時に詳細を発表する方針を示していた。

●CDSの急騰

SNS上はクレディ・スイスが危機的状況にあると指摘する多くの投稿が週末にかけて多く散見された。

クレディ・スイスのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は先週9月30日に急上昇。これを受け、英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、同行の経営幹部が週末(10月1~2日)にかけて大口の顧客や取引相手先の金融機関や投資家に連絡、同社の資本状況や流動性について説明したと報じた。

なお、クレディ・スイスはこの報道へのコメントを否定している。

同行の株価と時価総額の大幅な下落も懸念を高める要因となっている。

クレディ・スイスの9月30日時点の時価総額は約1兆4,770億円(102億ドル)で、昨年の3兆2,280億円(223億ドル)から半減。株価も同様に56%超下落して3.92ドルとなった。

クレディ・スイスはスイスに拠点を置く世界有数の大型ユニバーサルバンク。世界各国で事業を展開しているため、仮に財政破綻に陥った場合には、2008年のリーマンショック以上の金融危機を引き起こす可能性を危惧する声もある。

――過去の不祥事

クレディ・スイスでは昨年、立て続けに大きな不祥事が発生した。倒産した英グリーンシル・キャピタルとの取引では、ファンドの閉鎖に追い込まれ、米アルケゴス・キャピタル・マネジメントの取引で巨額の関連損失を計上した。

クレディ・スイスは独立した調査で、同行のリスク管理とリスク認識が欠如していたこと、監督責任の遂行とリスク軽減及び強化策などが不十分であったと結論づけ、組織改革を含む戦略計画の作成に取り組むこととなった経緯がある。

(イメージ写真提供:123RF)

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CoinPostに掲載された記事を、許可を得て転載しています。

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