欧州規制当局、「責任ある暗号資産分野」に必要なものを列挙

eu_90066401_s.jpg

 EBA(欧州銀行監督機構)のホセ・マヌエル・カンパ議長が、「責任ある」暗号資産(仮想通貨)分野を産み出すには、暗号資産業界と監督当局とのより多くの対話、消費者教育、「厳格なコンプライアンス」、そして一部の暗号資産企業の「考え方の変化」も必要である、と語った。

 EBAのウェブサイトによると、同機構はEU(欧州連合)の規制機関であり、拘束力のある技術標準と指針の採用を通じ、銀行業の欧州単一ルールブックの策定に寄与することを目的としている。

 EBA議長はファイナンシャル・ニュースの4日の意見記事の中で、欧州議会と欧州理事会がMiCAとして知られる欧州委員会の暗号資産市場規制案に関する交渉を終えたと述べた。

 しかし、カンパ氏は次のように論じた。

 「MiCAの交渉終了は(...)EUにおける責任ある暗号資産商品及びサービスの出現を育む作業の終わりではなく始まりとみなすべきだ」

 MiCAは23年に施行される予定だ。カンパ氏はこれを、ステーブルコインを含む暗号資産、そしてカストディや取引所を含む暗号資産サービスに対するEUの規制枠組みを作り出す「画期的な法律」と表現した。

 カンパ氏は次のように述べた。

 「当局がその能力を深め、新たな規制の境界線を適用するにつれ、法執行活動の増加によって暗号資産市場における違法または不公正な行為が根絶されることが期待できる。消費者を保護するだけでなく、金融分野における技術の合法的な利用に関する認識を曇らす行為に対処するためにも、この活動は歓迎されるべきだ」

●責任ある分野の育成方法

 カンパ氏は、「責任ある暗号資産商品及びサービスが大規模に出現できる」環境を作り上げるには、次のようなことを育む活動を通じた業界と監督当局との対話が必要だと主張した。

 ・機会とリスクに関する共通の前もった理解

 ・監督当局の期待に対する理解

 同氏は次のように付け加えた。

 「この対話は、責任あるイノベーションの促進のために対処すべき想定外の障害や潜在的なギャップを洗い出すためにも重要だ」

 消費者は暗号資産商品及びサービスの特徴を理解するために必要なスキルを身に着ける必要があるため、消費者金融教育も必要な要素だ。これは、「より高度な基準を促すのに重要な、需要に基づく力を生み出す」ためにも必要とされる。

 暗号資産分野で活動している多くの企業については、MiCAの要件を満たすためにリスクマネジメント実務に大幅な調整が必要になるとカンパ氏は述べ、次のように続けた。

 「一部の企業にとっては、こうした調整はシステムや管理を超える必要があり、『コンプライアンス・バイ・デザイン』というアプローチに向けた考え方の完全な移行を伴うだろう」

 一方、監督当局側は、暗号資産市場監視能力を拡張し強化する必要がある。新たな流通・売買チャンネルや、暗号資産とTradFi(伝統的金融)との「新たな相互接続」に対応する必要がある。

 「実際、多くの監督当局は既に新たなデータ分析と職員の訓練への投資を加速させている」とカンパ氏は記した。

●EBAはその役割を果たす

 一方、MiCAによると、「大規模な資産参照型・電子マネー型トークン(ステーブルコイン)」に対するEBAの責任の下、新たな監督システムが構築される。

 EBAは暗号資産アプリケーションの責任ある使用を促進するためにその役割を果たす、とカンパ氏は述べ、MiCA及びTFR(資金移動規制)の下、EBAは23年に「多くの技術標準及び指針に関する命令」を出し始めるとした。

 EBAは、新たな暗号資産と用途のEU全域での監視・評価を進め、業界と監督当局との知識交換を促進し、国家レベルでの監督当局の統合を促し、国際標準化団体との協力を続ける取り組みも継続する予定だ。

 カンパ氏は次のように結んだ。

 「暗号資産分野の責任ある持続可能なイノベーションは、この先何年もEU市民に利益をもたらし得ると確信しているが、強力で一貫した規制と厳格なコンプライアンス文化も必要だ」

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/european-regulator-lists-what-is-needed-for-responsible-crypto-sector.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

最新記事
ランキングページ
ビットコイン詳細ページ
イーサ詳細ページ
XRP詳細ページ