暗号資産流動性の企業への適用

94186719_s.jpg

 暗号資産(仮想通貨)が主流化に向けて進み続ける中、暗号資産やその他デジタル資産を運用や取引目的に利用するなど、企業によるブロックチェーン適用が増えている。この変化を完全に実現するためには、まずは金融機関と企業の両方が暗号資産の有用性をより良く理解し、この技術を全面的に受け入れる必要がある。

●現在、企業はどのように暗号資産に関与しているのか?

 ペイパルやロビンフッドなどの企業はすでに、自社プラットフォームを使って顧客が暗号資産を売買・保有することを可能にしている。スクエアのキャッシュアプリは、暗号資産へのアクセスを提供することで、すでに数十億ドルの収益を上げている。ペイパルについても、同社プラットフォームで暗号資産を利用するユーザー間で、顧客エンゲージメントが倍増しているという。暗号資産を報酬プログラムの一部として提供する企業もあるほどだ。そして、テスラやスクエア、KPMG、マスミューチュアルなどの企業は、投資を多様化するため、バランスシート上に暗号資産を保有している。おそらく、ビジネスにおける暗号資産のユースケースとしてかなり画期的(そしてタイムリー)なのは、ターボタックスがコインベースとの提携を発表し、顧客がコインベースのアカウントを通じて直接選択した暗号資産に税金の還付金を投資できるようにしたことであろう。

 しかし、こうしたユースケースは、暗号資産が企業のために果たす役割の耐性を図り、技術に対する社内認識を促進し、未来の普及拡大に向けた計画を始動するための探索的なものに過ぎないことが多い。暗号資産で支払いを行う人の40パーセントは、あるブランドの新規顧客であるということから、新たな人口層での拡大を目指すユーザー獲得戦略としても有効であり、企業の競争力を高めることができる。

●ビジネスソリューションのための暗号資産:明日のユースケース

 暗号資産技術の人気が高まっていることから、今後数カ月・数年の間に暗号資産を受領および支出する企業は必然的に増えていくだろう。同様に、暗号資産をバランスシートに保有するか、暗号資産決済を採用するかどうかを検討する金融機関も増えることが見込まれる。新たな資本・流動性プールを開放するために、NFT(非代替性トークン)やCBDC(中央銀行デジタル通貨)など、新しい形態のデジタル資産を利用し始める企業も出てくるかもしれない。

 しかし、主流としての信頼性と実用性を高めるためには、ビジネスに暗号資産をより深く統合し、基本的な利用方法を探ることが重要だ。暗号資産の革新的な用途としては、伝統的な法定通貨では不可能だった透明性の向上や管理業務の簡略化などが考えられる。暗号資産は、シンプルかつ安全なリアルタイム送金など、従来の財務機能を改善することで、組織の資本管理・保管力を強化することができる。

●暗号資産流動性プロバイダーを選択する際の重要な検討事項

 暗号資産のユースケースを最大化するため、企業には企業レベルの流動性プロバイダーが必要だ。高度なセキュリティ・規制基準、統合の簡素化、24時間365日稼働を実現しつつ、リクオートやスリッページを最小限に抑え、リアルタイムな取引を実行することができるプロバイダーである。

 企業にサービスを提供する流動性パートナーは、非常に幅広い流動性を提供しなければならない。マルチアセット流動性は、大口注文があっても価格の向上と安定化が可能であり、大口取引や市場のボラティリティによる価格高騰から企業を守るために不可欠である。

 これを実現するため、法人顧客はより広範囲な暗号資産市場からデジタル資産を簡単かつ効率的に調達することができる新たな方法を必要としている。企業のニーズに応えるターンキーソリューションとして設計された「リップル流動性ハブ」は、SOR(スマート・オーダー・ルーティング)を活用し、マーケットメーカー、取引所、OTC(店頭取引)デスクから最適な価格でさまざまなデジタル資産を調達する。簡素化したAPIによって集中的な統合を避け、事前資金調達の要件を減らして運転資金を開放するなど、法人顧客が抱える特定の課題を独自に解決している。

 言い換えれば、暗号資産を売買・保有するための信頼できるワンストップショップである。

●未来は流動性(そして相互運用可能性)である

 10年間にわたり世界の企業や金融機関の声に耳を傾け、パートナーとして協力してきた私たちは、企業やその顧客にとって、これが暗号資産ソリューションの次の大きな進化であると考えている。国境を越えた即時リアルタイム決済の簡素化から、オンデマンド流動性ソリューションによるシームレスな取引のための通貨間の橋渡しまで、私たちは今、暗号資産に支えられた産業において、流動性を中心としたイノベーションの次の重要な転換点に立っている。

 流動性が未来であるならば、相互運用性は暗号資産の真の可能性を開放するための重要な足がかりとなり、より包括的で広く採用され、民主化されたデジタル経済への道を切り開くことになるだろう。リップル流動性ハブは、企業向けに構築された暗号資産流動性プラットフォームとして、この可能性を解き放ち、暗号資産ファーストな未来への移行に役立つことができる。

(イメージ写真提供:123RF)

https://ripple.com/insights/enterprise-applications-of-crypto-liquidity/

This story originally appeared on Ripple Insights.

最新記事
ランキングページ
ビットコイン詳細ページ
イーサ詳細ページ
XRP詳細ページ