インドの中央銀行、デジタルルピー試験運用を開始

RBI_68265921_s.jpg

 インドの中央銀行であるRBI(インド準備銀行)は1日、銀行9行と協力して、独自のデジタル通貨の試験運用を開始した。また、インドのCBDC(中央銀行デジタル通貨)に関するコンセプトノートも公開している。

 ブルームバーグはCCIL(Clearing Corporation of India Ltd.)のデータを基に、「複数の債券が取引された」と報じている。「7.38%の2027年債と、7.26%の2032年債が、新たな形態の通貨を使って最初に取引された」ということだ。

 プレスリリースによると、ホールセール分野向けの試験運用は1日から開始された。

 「この試験運用のユースケースは、国債流通市場取引の決済である。ホールセール型デジタルルピー(eルピー)は、銀行間市場をより効率的にすることが期待される。中央銀行の通貨で決済することで、決済保証インフラや決済リスク軽減のための担保の必要性を回避し、取引コストを削減することができる」

 試験運用に参加する銀行は、インドステイト銀行、バローダ銀行、ユニオン銀行、HDFC銀行、ICIC銀行、コタックマヒンドラ銀行、イエス銀行、IDFCファースト銀行、HCBCホールディングスのインド部門である。

 The Hinduが引用した通達によると、「ホールセール取引とクロスボーダー決済は、この試験運用から得られた知識に基づき、今後の試験運用の焦点となる」ということだ。

 リテール分野の最初の試験運用については、特定の地域で1カ月以内に開始される見通しで、顧客や業者から成る非公開のユーザーグループが参加する予定であるという。

 RBIはコンセプトノートの中で、デジタルルピーはデジタル通貨を扱うのと同じ経験をユーザーに提供するが、「民間の暗号資産(仮想通貨)に関連するリスクはない」と主張している。

●CBDCの2つのバージョン

 The Economic Timesが報じた、RBIが10月7日に公開したコンセプトノートによると、インドのCBDCはRBIによって発行される法定通貨として定義でき、主権通貨と同じで法定通貨と1対1で交換可能である。

 RBIは、2つのバージョンのデジタルルピーを提案している。

 1.一般用またはリテール型CBDC:民間部門、非金融消費者、企業を含むすべての人が主にリテール取引に使用する
 2.ホールセール型CBDC、銀行間取引と同様のホールセール取引に使用される

 デジタルルピーと現在利用可能な「デジタルマネー」との違いについて、RBIは次のように説明している。

 「CBDCは商業銀行ではなく、RBIの負債であるため、一般入手可能な既存のデジタルマネーとは異なっている」

●CBDCに関するコンセプトノート

 RBIは31日、この種の通貨とデジタルピーの機能についての認識を高めることを目的とした、インドのCBDCに関するコンセプトノートも公開している。The Hinduが報じた。

 報道によると、コンセプトノートは、「インドにおけるCBDC発行の目的、選択肢、メリット、リスクについて説明」し、「CBDC導入に向けたRBIのアプローチについて説明しようとしている」という。

 コンセプトノートは、デジタルルピーの技術や設計、可能な用途、発行メカニズムなど、重要な要素について議論している。さらに、プライバシー問題を分析し、CBDCの導入が銀行システム、金融政策、金融安定性に及ぼす影響についても検証している。

 The Economic Timesによると、Saraf&Partnersのシニアアソシエイトであるガネシュ・ヴァルマ氏は次のようにコメントした。

 「CBDCインフラの採用・構築には多大な投資が必要である。コンセプトノートはインセンティブの導入については意欲的ではないため、この先さらにいくつかの政策的ジレンマが予想される」

 しかし、ヴァルマ氏は、CBDCに取り組む国はインドだけではなく、インドが他の国に遅れをとっているわけでもないと指摘している。

 一方、MAS(シンガポール金融管理局)は目的限定型のデジタルSGD(シンガポールドル)の潜在的用途と、必要な支援インフラについて論じた報告書を発表した。プレスリリースによると、これは「プロジェクト・オーキッド」の第1段階が成功したことを示すものであるという。

 報告書には、次のようにある。

 「この報告書には、潜在的なユースケースに対応するプログラム可能なデジタルSGDを実装するための設計上の考慮事項が含まれている。今後の研究分野は、ユーザー体験の向上や、セキュリティとプライバシー機能の強化、幅広い人々へのアクセシビリティの向上が中心となる」

 プロジェクト・オーキッドとは、21年11月にMASがローンチした業界の取り組みで、リテール型CBDCの発行に必要な技術インフラと技術能力を開発し、プログラム可能なデジタルSGDのユースケースを検討するためのものである。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/cbdc-indian-central-bank-begins-digital-rupee-pilot.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

最新記事
ランキングページ
ビットコイン詳細ページ
イーサ詳細ページ
XRP詳細ページ