仮想通貨企業、FTX危機の影響を受けないと相次いで声明

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●シルバーゲート銀行の状況

暗号資産(仮想通貨)企業向けの金融サービスを提供する米シルバーゲート銀行の株式は8日、20%以上下落した。しかし、一部のアナリストは同行がFTX関連で永続的な打撃を被ることはないとみている。

シルバーゲート銀行は、ビットコイン(BTC)市場のための独自決済ネットワーク(SEN)を運営しており、流動性危機に陥った仮想通貨取引所FTXも顧客に含まれていたことが市場の懸念材料となっていた。

これについて、金融サービス企業BTIGのデジタル資産リサーチ責任者を務めるMark Palmer氏は、FTXの苦境はシルバーゲート銀行に直接影響を及ぼしていないと述べた。同行は2020年から、顧客が保有するビットコインを担保にドル建ての融資を受けることが可能な「SENレバレッジ」を提供している。

Palmer氏は、シルバーゲート銀行のBen Reynolds社長から、同行がFTXトークン(FTT)を保有しておらず、FTTを担保にした貸し付けも行っていないことを確認した形だ。

パーマー氏によると、Reynolds社長は、同行のプラットフォームにおけるすべての融資はビットコインで担保されており、必要に応じてそれらのエクスポージャーを清算することができることも指摘していたという。

投資会社Canaccord Genuityのアナリストを務めるJoe Vafi氏も、シルバーゲート銀行は自社で仮想通貨を保有していないと指摘。「仮にFTXが運営停止したりする場合でも、シルバーゲート銀行は取引量を維持できる可能性が高い」と分析している。

ただし、今年3月にマイクロストラテジー社の子会社「MacroStrategy」がSENレバレッジを使って、ビットコインを担保として2.05億ドルを調達したことも懸念材料になっている。マイクロストラテジーの保有するビットコインの平均取得価格が30,639ドルでビットコインの暴落を受け、含み損は拡大する一方だ。当初のシルバーゲートの融資の清算価格がBTC=約21,000ドルのため、大幅に減少したマイクロストラテジーのビットコイン資産価値がローンに影響を与えている可能性がある。

●テザー社らも重大なエクスポージャーを否定

FTXの財政状況に対する懸念が市場に広まって以降、様々な企業がFTXとその姉妹企業であるアラメダリサーチへのエクスポージャーを否定しているところだ。

アラメダリサーチと協力して企業向けローンを提供していた仮想通貨金融企業Maple Financeの共同設立者は、同社がアラメダリサーチに融資していないことを明確にした。

10月にメインネットを立ち上げたばかりの新レイヤー1ブロックチェーンプロジェクト「Aptos Labs(アプトス ラボ)」も、FTXにより保有されている自社資産は存在せず、FTXの財政危機については、影響を受けないと説明している。

ステーブルコインUSDTを発行するテザー社のPaolo Ardoino最高技術責任者(CTO)も、テザー社はFTXやアラメダリサーチにエクスポージャーを持たないと述べた。

ステーブルコイン発行企業では、USDCを発行するサークル社のCEOも、FTXとアラメダリサーチは同社の顧客であったものの、サークル社は2社への実質的なエクスポージャーを持たないとしている。

その他に、仮想通貨融資大手Genesis Tradingや米仮想通貨取引所コインベースは、9日時点でFTXやアラメダリサーチへの重大なエクスポージャーはないとしている。

コインベースのArmstrong CEOは、リスクの高いビジネス手法や顧客資産の間違った使い方などがFTXが危機に陥った原因だったと意見した。

(イメージ写真提供:123RF)

https://coinpost.jp/?p=406077

CoinPostに掲載された記事を、許可を得て転載しています。

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