テザーがオフショア人民元を発行、中国暗号資産ブームとなるか?

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 最大のステーブルコインのテザー(USDT)を発行するテザー社が提供商品を拡大し、オフショア中国人民元(CNHT)をトロンブロックチェーンに追加した。これにより、中国ユーザーはイーサリアム(ETH)ブロックチェーンよりも安価な手数料でステーブルコインの送金・受取を行えるようになる。

 テザーは6日の発表で、オフショア人民元(CNH)にペッグしたCNHTをトロンブロックチェーンに追加したと発表。

 19年にローンチされたCNHTは当初、ERC-20規格のトークンとしてイーサリアムブロックチェーン上のみで発行されていた。CNHTは、米ドル(USDT)、ユーロ(EURT)、ペソ(MXNT)に連動するステーブルコインなど、テザーがサポートする4種類のステーブルコインの1つである。

 テザーのCTO(最高技術責任者)パオロ・アルディーノ氏は、「CNHTをトロンエコシステムに追加することを嬉しく思う。暗号資産(仮想通貨)市場が大きな混乱に見舞われている今、構築し続けることが最善の道であると考えている」とコメント。

 トロンの創設者ジャスティン・サン氏もトロン上でのCNHTの発行に言及し、「暗号資産とアジアコミュニティにとっての大きなマイルストーン」であると評価した。

 テザーのCNHTは現在、コインマーケットキャップやコインスタッツなど、主要暗号資産価格追跡ウェブサイトでは追跡されていない。

 しかし、コインゲッコーのデータによると、現在1CNHT=0.143427ドルで取引されており、中国人民元の価格にうまく連動しているようだ。また、CNHTの時価総額は294万750ドルで、過去24時間の取引高は2000ドル余りとなっている。

 テザーは、トロン上でのCNHT発行について、ステーブルコイン技術の開拓と、最大かつ最も流動性の高いステーブルコインをグローバル市場にもたらすことへの同社の努力を表しているとする一方、「このステーブルコインに多くの需要があるかどうかはまだわからない」と述べた。

 一方、暗号資産取引所のビットフィネックスは、トロン基盤のCNHTステーブルコインを上場する最初の取引所になると発表した。テザーの親会社は香港企業iFinex Inc.であるが、同社は暗号資産取引所ビットフィネックスの親会社でもある。したがって、テザーとビットフィネックスは姉妹会社である。

 トロンはスマートコントラクト機能を備える分散型オープンソースブロックチェーンベースのオペレーションシステムで、イーサリアムに似ている。しかし、トロンはイーサリアムより高速かつ安価で、取引にはより適している。

 報じられている通り、中国は21年に国内の暗号資産分野に対して積極的な取り締まりを行い、ほぼすべての中国暗号資産企業が暗号資産により友好的な国へと流出した。

 しかし、中国はデジタル人民元で裏付けられたステーブルコインに対してはそれほど強硬な姿勢は取っていない。実際、中国工程院の研究者であるZhang Ping氏は22年、中国のメタバースのオンチェーン決済システムを構築するために、中国はデジタル人民元に裏付けられたステーブルコインを発行するべきだと発言している。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/tether-adds-offshore-chinese-yuan-its-stablecoin-offering-china-crypto-surge-coming.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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