SECの首席会計士代理、「投資家は暗号資産PoR監査に注意すべき」

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 米SEC(証券取引委員会)は、暗号資産(仮想通貨)企業の監査に関する警告を行い、投資家は企業のPoR(準備金証明)を信頼することについて、「非常に注意深く」あるべきであると述べた。

 SECの首席会計士代理ポール・ムンター氏は、最近のウォールストリートジャーナルとのインタビューで、暗号資産企業による一部の報告に対して、「非常に警戒するよう」投資家に注意を促した。

 かつては世界3位の暗号資産取引所であったFTXの前例のない破たんにより、中央集権型取引所への信頼が損なわれたことを受け、一部の取引所は顧客資金の安全性を示すため、PoR(準備金証明)監査を委託し始めている。

 PoRとは、第三者機関が中央集権型暗号資産取引所に対して実施する独立調査で、この種の取引所が顧客に代わって資産を保有していることを確認するために行われる。

 しかし、PoRだけでは十分ではない。というのも、これだけではバランスシート全体と取引所の負債状況を確認することができず、会社の財務的健全性を徹底的に評価することが難しいためだ。

 したがって、ムンター氏は、暗号資産企業が監査企業からの報告書をどのように公表しているのか、注意深く観察していると述べている。また、SECは監査企業に対しても警告を行う見通しであるとも報じられている。

 世界最大の暗号資産取引所バイナンスは、7日にPoR監査を発表。報告書を見ると、バイナンスのビットコイン(BTC)資産の担保比率は101%で、顧客資金をカバーするために必要な金額以上のビットコインを保有していることが分かる。

 しかし、業界のベテランらは同社の報告書について警告を促し、一部の専門家らは心配するユーザーを満足させるには程遠いものだと主張している。ニューヨークのバルーク大学の会計学教授ダグラス・カーマイケル氏は、「担保の十分性について投資家が抱く疑問のすべてに答えているとは思わない」とコメントした。

 ムンター氏はこれに関して、報告書の情報だけでは、「その企業が負債をカバーするのに十分な資産を保有しているかを評価することはできない」と指摘。

 同氏は続けて、「投資家は、会社が監査企業からPoRを受けたという事実だけを過信してはならない」と述べた。

 バイナンスのPoR報告を巡る議論を受けて、同社のビットコイン準備金を監査した監査企業Mazarsは、バイナンス、クーコイン、クリプトドットコムなど、暗号資産関連顧客とのすべての手続きを停止している。

 それにもかかわらず、バイナンスはMazarsに見捨てられた後も、別の監査企業を探しているという。同社は「ビッグフォー(デロイト、EY、KPMG、PwC)を含む複数の大手企業に接触したが、いずれも現在は民間の暗号資産企業にPoRを実施する意向はない」とのことだ。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/secs-munter-investors-should-proceed-with-caution-on-crypto-proof-of-reserve-audits.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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