取引所についての洞察、業界関係者が語る２３年の暗号資産規制

　これまでのところ、２３年は暗号資産（仮想通貨）にとって激震の年となっている。年明けには厳しい弱気相場が終わり、２月には世界の規制当局による激しい動きがあった。

　２７日には、ゲイリー・ゲンスラー委員長率いるＳＥＣ（証券取引委員会）が、ビットコイン（ＢＴＣ）以外のすべてのデジタル資産を証券として分類することに決定したとうわさが流れた。

　このニュースの中で、ロンドンで開催された年次「ブロックチェーン・エコノミー・サミット」にて、業界関係者が暗号資産の次の展開ついて議論を繰り広げた。

　規制に関する話題の中心は、取引所が規制当局と協力してイノベーションを守る必要があるという考えだ。これは、コミュニケーション・市場の安定化・透明性の向上・セキュリティの強化を意味する。

●取引所には透明性が必要

　取引所ビットフィネックスのシニアコンプライアンスマネージャーであるデルフィーヌ・フォルマ氏は、ＣＥＸ（中央集権型取引所）はリスク管理のためにユーザーに対して透明性を開放する必要があると説明した。

　「特にＦＴＸの後、透明性は大きなトピックだ。プルーフ・オブ・リザーブス（準備金証明）を巡り大規模な議論が交わされているが、内部で何が起こっているのかを開示し、私たちが行うすべてのことについて透明性を高める必要がある」とフォルマ氏は述べた。

　「私たちはコンプライアンスを遵守し、コインの上場を通じて良い商品を確保するために努力しているが、優良な顧客が必要だ」

　「つまり、顧客教育、つまりユーザーが自分自身を守る方法の教育が必要だということだ」

　取引所ディープコインのマーケティング・成長ディレクターのミシェル・マイウーリ氏もこれに同意している。同氏は、２３年の進歩の中心は顧客教育であると予想している。

　「（２３年は）教育と規制の年になる」とマイウーリ氏は主張した。

　「もしユーザーの教育に２倍の力を注いだとしたら、テラやＦＴＸでどれだけの人が被害に遭っていただろうか？私たちは教育を強化しなければならない」

●規制のカギを握るのはコミュニケーション

　デルフィーヌ氏によると、これは規制当局との会話にも反映されているとし、ビットフィネックスが政府との関係を改善するためにどのように取り組んでいるかを説明している。

　「教育は、規制当局との間で特に大きなものだ」と同氏は述べる。

　「暗号資産はデジタルかつグローバルに生まれたが、ローカルな規制に直面することを余儀なくされている」

　「ユーザーの取り込みプロセスがさまざまな規制環境の中で複雑さを増している。世界の規制当局はお互いに十分話し合っていない」

　コインベースの事業開発ＥＭＥＡ責任者であるピーター・スティルウェル氏は、この面で規制当局との関係が良くなってきていると話す。

　「（コインベースは）は多くの規制当局と協力しており、彼らは必ずしもすぐにノーと言いたがるわけではない」と同氏は述べた。

　「特にオランダやスペイン、フランス、英国などヨーロッパの規制当局は、この技術が何を提供できるかについて非常に興味を持っている」

　「私が彼らに望むことは、強制によって規制を推し進めるのではなく、私たちが取り組んでいることに関与してもらうことだ」

●規制当局はユーザーの視点から暗号資産を理解する必要がある

　この意見を共有したのは、Ｇａｔｅ．ｉｏの事業開発・運営責任者のダニエル・アントクリフ氏。取引所がどのように規制当局とうまく連携できるかについて、同氏はコミュニケーションが重要であるとの見解を示した。

　「（規制当局には）コミュニケーション、理解、暗号資産企業への参加が必要で、特にコミュニケーションが重要だ」とアントクリフ氏は主張した。

　「規制当局は、取引所で行われるサードパーティのリスティングのための作業とデューデリジェンスを理解するため、ユーザーとＣＥＸの視点から（暗号資産を）理解する必要がある」

　「政府が過剰な規制によってイノベーションを阻害しないよう、政府とのコミュニケーションはもっとオープンであるべきで、そうすれば私たちは（１つの業界として）前に進み続けることができる」

　スティルウェル氏によると、必要とされているコミュニケーションは改善されつつあるという。コインベースは最近、規制のサンドボックスに参加した経験の中で、規制当局と密接に連携することに大きな成功を収めたという。

　「私はＦＣＡ（英金融行動監視機構）のイノベーションサンドボックスに参加した。規制当局者の目の前でライブユーザーとイノベーションを起こすのに最適な場所であった」

　「この規制サンドボックスによって、ＦＣＡライセンスへの道がかなり近くなる」

（イメージ写真提供：１２３ＲＦ）

This story originally appeared on cryptonews.com.