決済大手のビザとマスターカード、暗号資産商品の立ち上げを延期

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 世界的な2大決済カード・ネットワーク処理会社であるビザとマスターカードが、市況の不透明さを理由に暗号資産(仮想通貨)関連商品及びサービス立ち上げの延期を決定した。

 ロイターは2月28日、この件に詳しい人物の話として、複数の有名企業が破綻した最近の暗号資産崩壊を受け、両社は暗号資産活動を減速し、デジタル資産分野で活動する企業との新たな提携も停止する予定だと報じた。

 「暗号資産分野での最近の目立った破綻は、暗号資産が主流の決済・金融サービスの一部になるまでの道のりはまだ遠いことを気付かせる重要な出来事だ」とビザの広報担当者は語った。

 しかし、この広報担当者は、今回の決定は自社のデジタル資産に対する戦略や注力に影響を与えないとした。一方、マスターカードの広報担当者は次のように述べた。

 「根底にあるブロックチェーン技術と、これが現在の課題の解決やより効率的なシステムの構築にどのように適用し得るかについて、引き続き焦点を当てて活動する」

 今回の方針変更は、両社が過去数年間にわたって暗号資産分野における機会を積極的に追求してきた中で生じたものだ。

●マスターカードとビザ、暗号資産に関する大きな計画を持っていたが後退

 ビザとマスターカードは共に、暗号資産に関する大きな計画を有し、これは金融・決済における次の大きな出来事だと謳っていた。

 マスターカードはつい最近、デジタル、現実、そしてメタバースの世界でユーザーが暗号資産決済を行えるようにするため、ウェブ3決済プロトコルのイマーシブとの提携を発表していた。同社は、マスターカード決済に対応する店舗でリアルタイム暗号資産取引を処理するために、分散型プロトコルを用いる計画を立てていた。

 同様に、ビザは2月に、決済の「マッスルメモリー」構築を模索し、自社プラットフォームで顧客がデジタル資産を法定通貨に変換できるようにする計画を立てていると発表していた。

マスターカードは22年10月に、暗号資産は金融インフラを変える可能性があると語り、「暗号資産を日常の決済手段に変え」得る5つの重点分野を概説した。

 マスターカードのデジタル資産・ブロックチェーン商品及びデジタルパートナーシップ担当エグゼクティブ・バイスプレジデントであるラジ・ダモハラン氏は当時、「近い将来」に非接触型カード決済と同じくらいシームレスに暗号資産を使えるようになると語っていた。

●米国が暗号資産への取り締まりを強化

 投資会社グレート・ヒル・キャピタルの会長兼業務執行社員であるトーマス・ヘイズ氏は、この暗号資産計画後退の主な原因は米国での規制圧力の高まりにあると述べ、「規制体制が明確になるまで動けないし動くべきではない」と付け加えた。

 ニューヨーク州金融サービス局は2月、バイナンスのステーブルコインであるバイナンスUSD(BUSD)を発行する暗号資産企業パクソスに対し、バイナンスUSDの発行停止を命じた。その後、SEC(米証券取引委員会)が同社をバイナンスUSD発行で起訴する予定であることが明らかになった。同委員会は、バイナンスUSDは未登録の証券だと主張している。

 また、SECは、米国内での顧客へのステーキング・サービス及びプログラムの提供停止と、同委員会が証券と認定した「暗号資産ステーキング・アズ・ア・サービス・プログラムの提供及び販売の登録」を怠ったという告発に対する和解金3000万ドルの支払いについて、暗号資産取引所クラーケンと合意している。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/payment-giants-visa-mastercard-push-back-launch-of-crypto-products-due-uncertain-market-conditions.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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