バイナンスの米法執行当局から逃れる計画が流出文書で明らかに

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 バイナンスと、別会社だとされている同取引所の米国部門であるバイナンスUSは、スタッフ、技術チーム、財務が混ざり合い、これまで公表されていた以上の結びつきを有していた。

 WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)の5日の報道によると、内部文書と従業員のメッセージを精査した結果、全くの別会社だと主張されていたにも関わらず、バイナンスとバイナンスUSはスタッフと財務を共有し、暗号資産(仮想通貨)を売買する関連会社1社を有していたという。

 この記事はさらに、バイナンスは規制当局からの盾として米国プラットフォームを設立したと主張している。バイナンスの顧客の5分の1が米国在住である中、米当局が未規制の海外暗号資産企業の取り締まりを示唆した後、この動きが生じたという。

 「訴追の可能性を懸念したバイナンスは、米当局を無力化する計画を開始した。その戦略は、バイナンスの技術とブランドを持つがバイナンス・ドットコムとは完全に独立しているように見える、最低限の機能を備えたバイナンスUSという米国プラットフォームを設立することを軸としたものだった」と同記事は記した。

 またこの記事では、両社の密接な関与を示す19年の両社の社員のやり取りが共有された。例えば19年9月には、上海のバイナンスのスタッフが米国プラットフォームの開始数分前に取引を可能にした際に、メッセージング・アプリであるテレグラム上のバイナンスのチャット・グループでやり取りが交わされた。

 Ninj0r(バイナンスのソフトウェア開発者):「どうして取引が始まったんだ????まだ時間じゃない!!!!取引を始めたのは誰だ?取引タイマーを設定してたのに?誰が取引を始めたんだ?」

 他にも、 Ninj0rからの「誰かが取引を早く開始した。誰がやった?8:56:09.822に誰かが手動で取引を始めた。誰が?なぜ?」という緊急メッセージなどが続いた。最終的にバイナンスのチャンポン・ジャオCEO(最高経営責任者)が「こちらの上海の男が操作を間違えた」と語った。

 このメッセージは、当初、上海の開発者がバイナンスUSの重要なソフトウェア機能を持ち続けていたことを意味している。WSJはこの契約に詳しい人物の話として、上海の開発者の契約はバイナンスとのものであり、米国プラットフォームとのものではない、と伝えた。

 この記事ではさらに、18年に、当時は元CFTC(米商品先物取引委員会)委員長で現在はSEC(米証券取引員会)委員長であるゲイリー・ゲンスラー氏に対し、顧問としてバイナンスに加わるようバイナンスのスタッフが打診していたことが明らかにされた。バイナンスのある社員は当時同僚に対し、ゲンスラー氏は「20年の選挙で民主党が勝てば恐らく規制当局に戻る」と話していた。

 バイナンスとバイナンスUSにコメントを求めたが、すぐに返答はなかった。

●バイナンス、米国で監視強化に直面

 1日には、エリザベス・ウォーレン上院議員(民主党・マサチューセッツ州)、クリス・ヴァン・ホーレン上院議員(民主党・メリーランド州)、ロジャー・マーシャル上院議員(共和党・カンザス州)が、違法な活動を告発する中、バイナンスとバイナンスUSに対し事業に関する詳細な情報を提供するよう要求した。

 上院議員らは、チャンポン・ジャオ氏とバイナンスUSのブライアン・シュローダーCEOに宛てた書簡の中で、同取引所とその関連企業が「意図的に」規制当局から逃れ、犯罪者や制裁回避者の資産移転を助長し、基本的な財務情報を顧客や一般市民から隠ぺいしたと述べた。

 注目すべきことに、バイナンスは18年からDOJ(米司法省)の捜査を受けている。この捜査は、マネーロンダリングの共謀、無許可の送金、刑事上の制裁違反に焦点を当てたものだという。

 また、米国の規制当局は、バイナンスと繋がりのあるステーブルコインのバイナンスUSD(BUSD)も取り締まっている。ニューヨーク州金融サービス局は2月、バイナンスのステーブルコインであるバイナンスUSDを発行する暗号資産企業パクソスに対し、同トークンの発行停止を命じた。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/binances-secret-plot-leaked-texts-reveal-plans-evade-us-law-enforcement-whats-going-on.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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