パウエルFRB議長、「暗号資産を抑圧することは望んでいない」

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 FRB(米連邦準備制度)のジェローム・パウエル議長は、暗号資産(仮想通貨)のイノベーションを阻害することは望んでいないと明確に示したが、この業界にはまだ詐欺やリスクが多いとも警告した。

 パウエル氏は、連邦議会の上院銀行委員会で、暗号資産業界について議論し、FRBは同分野にかなり関与してきたと述べた。また、ブロックチェーン技術が現実の世界で実用化されていることも認識しているとした。

 「我々は、人々の暮らしを良い良くする生産的なイノベーションに役立つ技術があるという考えに対してオープンでなくてはならない」と同氏は語り、次のように続けた。

 「我々は、規制によって既存の企業に有利になるだけの方法で、イノベーションを阻害することは望んでいない。しかし、他の人たちと同じように、我々は暗号資産分野で起きていることを見ている。非常に多くの混乱、詐欺、透明性の欠如、取り付けリスクを目にしている」

 また、銀行やその他金融機関に対し、暗号資産との関わり方に注意が必要であると改めて警告した。「我々は、暗号資産活動において、規制を受けた金融機関が暗号資産分野で何かをする場合、かなり慎重になるべきことを示唆する多くの事柄を目にしている」とした。

 パウエル氏は公聴会の中で、新たな暗号資産の法的枠組みを議会が導入することを歓迎するとも述べている。規制当局は銀行がステーブルコインに関与することを懸念しているが、この種のトークンは適切に規制を受ければ金融システムの中で存在することができるとの見解を示した。

 22年、暗号資産分野において、かつては世界3位の暗号資産取引所であったFTXなど、数々の有名企業が破たんしたことを受け、米国の規制当局は暗号資産業界に対してますます攻撃的な姿勢を強めている。

 特に米SEC(証券取引委員会)は、暗号資産企業に対する取り締まりを強化している。23年に入り、SECはクラーケンにステーキングサービスの停止と、3000万ドルの罰金の支払いを命じ、パクソスにはバイナンスUSD(BUSD)ステーブルコインの発行を巡り訴訟をちらつかせている。

●暗号資産の影響が伝統的金融に波及する可能性は?

 暗号資産企業に関わる金融機関への注目が高まっている背景には、暗号資産に好意的なシルバーゲート銀行が、最近の暗号資産暴落でトラブルに直面していることがある。同行は先週、期限内に10-K年次財務報告書をSECに提出することができず、事業継続能力を評価していると明らかにした。

 シルバーゲートは、22年11月のFTX崩壊で最も打撃を受けた金融機関の1つである。報道によると、同社はFTX破たん後、取り付け騒ぎが起き、約81億ドルの顧客による出金に対応するため、52億ドルの債務証券を大幅な赤字で売却することを余儀なくされた。

 その結果、13年以降の同社の総利益を上回る7億1800万ドルの損失が発生。さらに、同行の預金残高は、21年は119億ドルであったのに対し、22年末時点は38億ドルしかなかったという。

 シルバーゲート銀行は、もともとは住宅金融とコミュニティ投資を支援するために設立された連邦住宅貸付銀行から少なくとも36億ドルの融資を受けているため、同行が直面する問題は伝統的金融業界にとっての懸念材料となるかもしれない。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/federal-reserve-chairman-powell-speaks-out-we-dont-want-stifle-crypto.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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