CFTCによる訴訟後にバイナンスから22億ドルが流出
CFTC(米商品先物取引委員会)による提訴のニュースが伝わった後、大手暗号資産(仮想通貨)取引所のバイナンスから22億ドルもの資金が流出した。
CFTCが27日に公表したこの訴訟では、バイナンスが米国の個人ユーザーに「未登録の商品」を提供しているとされ、バイナンスの顧客から注目が集まった。
ウォール・ストリート・ジャーナルは29日、イーサリアム(ETH)追跡プラットフォームであるナンセンのデータを引用し、過去7日間での純流出額はイーサリアムだけでも21億ドルに及ぶと伝えた。
この傾向はイーサリアムだけでなく、ビットコイン(BTC)、トロン(TRX)、そしてバイナンスのBNBチェーンなどの他の主要ブロックチェーンでも、同様の出金が生じている。
この大きな金額は、公に知られているバイナンスのウォレットの、当時約632億ドル相当だった総保有額に由来するものだ。
ナンセンのアナリストであるアンドリュー・サーマン氏は、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事の中でこの出金にコメントし、出金の水準は「通常時の活動と比べて高まっている」とし、CFTCによる発表の後活動が勢いを増したと述べた。
しかしサーマン氏は、通常よりは高いものの、これよりも高い水準の出金は以前にも見られたと指摘した。
その1例が2月、ニューヨークの規制当局が人気のステーブルコイン、バイナンスUSD(BUSD)のパクソスによる発行を禁止した時だ。
バイナンスUSDは、多数の国際的規制体制の下でグローバルに活動しているバイナンスに代わって、規制下にあるニューヨークの信託会社であるパクソスが発行していた。
この禁止を受け、バイナンスのチャンポン・ジャオCEO(最高経営責任者)は、パクソスは「引き続きこの商品へのサービスを提供し、償還を管理する」と述べる一方、新規のバイナンスUSD発行が停止したことでユーザーは「時間が経つにつれ」他のステーブルコインに移行する可能性が高いと認めた。
一方、最近バイナンスが自ら招いたもう1つの逆風が、ビットコイン取引ペアでの取引手数料復活だ。これは、バイナンスで最近見受けられる全体的な取引量減少や出金の原因かもしれない。
バイナンスはこれまで、全てのビットコイン・ペアで手数料無料の取引を提供していた業界でも数少ない会社の1社だった。当然ながらこれは取引量の大幅な増加につながっていた。
しかしこの取引手数料が復活したことで、大きな取引量の原因だったアルゴリズム型トレーダーを含む一部のトレーダーが、他の取引所に目を向け始め、出金に拍車をかけているのかもしれない。
暗号資産ヘッジファンドのアイスバーグ・キャピタルでポートフォリオ・マネージャーを務めるジョン・カーンストローム氏は、ウォール・ストリート・ジャーナルに対し、暗号資産分野において手数料は「極めて重要」だと語った。
「一般的に、私はまず第一にカストディ面で、そして2番目には確かに手数料で、その取引所でトレードを行うかどうかを決める」と同氏は述べた。
また、バイナンスが全ての出金を履行する能力に懸念を抱いている人々に対し、同取引所は、いつも通り、心配する理由はないとしている。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、バイナンスの広報担当者は、「出金要請を果たすのに十二分な資金を有している」と語っている。
(イメージ写真提供:123RF)
This story originally appeared on cryptonews.com.
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