スイスの国有銀行、新たな提携で250万人の顧客に暗号資産機能を提供へ

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 スイスの大手銀行ポストファイナンスは、デジタル資産サービスプロバイダーのシグナム銀行と提携を結び、顧客に暗号資産(仮想通貨)取引と保管サービスを提供すると発表した。

 5日のプレスリリースによると、ポストファイナンスはこの提携の一環として、2大暗号資産であるビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)の売買および保管サービスを250万人の顧客に提供する。将来的には対応トークンをさらに増やす予定だ。

 同社はシグナム銀行の機関投資家向けB2B(企業間取引)バンキングプラットフォームを利用している。これにより、機関投資家は規制とコンプライアンスに則った方法で暗号資産市場に参入し、暗号資産サービスを提供することができる。

 シグナム銀行のB2Bネットワークには15社以上の銀行パートナーが参加しており、「幅広い暗号資産」に対応している。また、ステーキングなどの収益を生み出すサービスも扱っている。

 ポストファイナンスのCIO(最高投資責任者)であるフィリップ・メルクト氏は、「デジタル資産は金融界に不可欠な要素となっており、当社の顧客はポストファイナンスでこの市場にアクセスすることを望んでいる」とコメント。

 1906年に創設されたポストファイナンスは、スイス政府が完全所有しており、同国で5番目に大きな金融サービス会社である。

 同社はスイスの国営郵便事業であるスイスポストの金融サービス部門でもある。

 ポストファイナンスは、自社の取引・カストディサービスを構築し、物理的な切手と連動したデジタルコレクティブルを発行するなど、暗号資産に友好的なスタンスをとっていることでも知られている。

 21年、同社はオンライン取引プラットフォームのスイスクオートと提携を結び、モバイルアプリ「Yuh」を開発。このアプリでは、従来の株式市場だけでなく、25以上の暗号資産にもアクセスすることができる。

 世界初のデジタル資産銀行と自社を称するシグナム銀行は、スイス銀行免許を持ち完全に規制を受けている。

 23年初め、シグナム銀行はイーサリアムのスケーリングソリューションであるzkSync Eraと提携し、支払い能力の証明(Proof-of-solvency)ソリューション、シグナムが運営するバリデーターノードを介したzkSync Eraユーザーへのカストディオプションの提供、シグナム顧客向けのオンランプおよびオフランプのインフラ構築など、複数の分野に取り組んでいくと発表していた。

●伝統的金融機関の参加により暗号資産採用が勢いを増す

 250万人の顧客に暗号資産サービスを提供するというポストファイナンスの動きにより、伝統的金融ユーザーの間で採用ペースがさらに加速する可能性がある。

 報じられている通り、S&Pグローバルも、急速に進化するDeFi(分散型金融)分野への拡大を指揮するDeFiディレクターを募集している。これは、暗号資産とブロックチェーン基盤技術の主流での受け入れを意味する動きである。

 さらにナスダックも、暗号資産サービスへの機関投資家の関心と需要の高まりに応えるため、第2四半期末までに待望の暗号資産カストディサービスを開始する計画だ。

 BNYメロンによる10月の調査で、銀行の機関投資家顧客の91%がデジタル資産投資に関心を示し、97%が「トークン化は資産管理に革命をもたらすものであり、業界にとって良いことである」と考えていることが明らかとなった。

 注目すべきは、世界の一部の大企業がすでにブロックチェーン技術と暗号資産を何らかの形で活用しているということ。

 ブロックチェーン導入分析プラットフォームのblockdataは22年の報告書で、6つの主要セクターにおける時価総額上位100社の公開企業のうち44社が、現在ブロックチェーンを積極的に活用していると指摘している。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/swiss-government-owned-bank-to-grant-25-million-users-crypto-capabilities-via-new-partnership-crypto-adoption-on-the-rise.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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