シンガポール当局、銀行における暗号資産顧客審査のベストプラクティスを策定へ

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 シンガポール当局は、世界のデジタル資産分野で大きな混乱が起きていることを受け、同分野の顧客審査に関する統一基準を策定するため、現地の銀行と協力している。

 MAS(シンガポール金融管理局)と警察は国内の金融機関と協力し、暗号資産(仮想通貨)サービスプロバイダーを受け入れる際の審査方法を改善しようとしていると、ブルームバーグが事情に詳しい関係者の話として報じた。

 報道によると、この取り組みはおよそ6カ月前から進められており、リスク管理やデューデリジェンスなどの分野におけるベストプラクティス(最良の方法)を示した声明が2カ月以内に発表される可能性があるという。

 ガイドラインには、ステーブルコイン、譲渡可能なゲームやストリーミングクレジット、NFT(非代替性トークン)も含まれる予定だ。

 規制ガイドラインが策定されるといっても、暗号資産顧客を受け入れるかどうかは、各銀行のリスク許容度に基づいて決定されることになる。

 MASはブルームバーグへのコメントで、「現行の顧客や見込み顧客と同様、銀行は顧客デューデリジェンスを実施し、顧客がもたらすリスクを理解し、管理する必要がある」と述べた。

 「銀行は、商業上の検討事項とビジネスリスク許容度とのバランスをとりながら、顧客との銀行関係を開始するか、継続するかを独自に判断する」

 シンガポールの金融機関は、デジタル資産管理企業やその他関連会社と取引することが認められているが、主に地方銀行が違法なキャッシュフローやその他の不正行為の可能性を懸念しているため、一部の企業は口座開設に苦戦している。

 シンガポールは他の国々と同様、暗号資産業界にライセンス制度を導入しており、個人投資家による暗号資産取引の制限強化も提案している。

 これは、テラフォーム・ラボや暗号資産ヘッジファンドのスリーアローズキャピタルなど、22年に破たんした複数の有名企業が同国に拠点を置いていたためである。

 シンガポール当局は3月上旬、崩壊したテラUSD(UST)を開発したド・クォン氏率いるテラフォーム・ラボに対する調査を開始した。

●米国で取り締まりが行われる中、シンガポールと香港は暗号資産フレンドリーな姿勢を取る

 シンガポールと香港は、世界的な暗号資産ハブになるため、暗号資産企業にとってより友好的な環境づくりに努めている。

 報じられている通り、香港当局は暗号資産分野への融資要件を緩和するため、暗号資産企業と銀行家との間で会議を開催する予定だ。これは、暗号資産企業が法人銀行口座を開設しようとする際に直面するさまざまな困難に取り組む意思があるということを示唆している。

 さらに、交通銀行や中国銀行、上海浦東発展銀行など、香港にある多くの中国国有銀行は、地元の暗号資産企業にサービスを提供し始めたり、問い合わせを行ったりしている。

 一方、米国の規制当局、具体的にはSEC(証券取引委員会)とCFTC(商品先物取引委員会)は、暗号資産業界に対して積極的な取り締まりを開始した。

 最近では、暗号資産取引所のビットレックスが、規制圧力の高まりと規制要件の不明確さを理由に米国業務を停止すると発表した。

 「規制要件はしばしば不明確で、適切な議論や意見がないまま施行される。その結果、競争環境は不公平になっている。米国で事業を行うことはもはや不可能だ」とビットレックスの共同創設者リッチー・ライ氏は当時述べていた。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/singapore-authorities-set-best-practices-for-crypto-client-vetting-banks.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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