アイルランドの中央銀行総裁、裏付けない暗号資産をねずみ講と呼ぶ

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 アイルランド中央銀行のガブリエル・マクルーフ総裁は、裏付けのない暗号資産(仮想通貨)は投資というよりは「ねずみ講」に近いと述べたが、「暗号資産はすぐになくなることはない」との考えも示した。

 マクルーフ総裁は5日のブログ投稿で、アイルランド中銀は「裏付けされた」暗号資産と「裏付けのない」暗号資産を区別していると説明。

 中央銀行は、MiCA(暗号資産市場規制)に基づくEMT(電子マネートークン)やART(資産参照トークン)など、「『裏付けされた』暗号資産の可能性に対してはオープン」であるとした。

 しかし、「裏付けのない」あるいは「裏付けが不十分な」暗号資産は、「厳格な懐疑心を持って扱うべき」であると主張。こうした暗号資産を購入することは宝くじを買うようなもので、当たる可能性はあるものの、その可能性は低いということだ。

 「それを『投資』と表現することは、言うまでもなく言葉の乱用であり、『ねずみ講』の方がより正確かもしれない」とマクルーフ総裁は述べた。

 アイルランド中銀は一般市民に対する暗号資産の宣伝を抑制しており、特に宣伝のために報酬を得ていることを公表していないインフルエンサーによる積極的な宣伝に注意を呼びかけている。

●規制当局による監視

 暗号資産の冬とここ1年で起きた出来事を忘れてはいけないとマクルーフ総裁は述べている。

 これには、市場暴落、テラ(LUNA)およびFTXの崩壊、その後の連鎖、顧客と投資家の保護の欠如、誤解を招く広告、顧客資金の不適切な利用、準備金の不十分な質などがある。

 「企業は規制当局による監視を受けることなく運営されており、顧客・投資家保護のことをほとんど考えずに運営することを選択した企業があったことは明らかだ。22年に暗号資産の冬として始まったことは、今でも影響を及ぼしている」

 マクルーフ総裁は、これらの出来事と業界での「失敗」により、規制当局、政治家、中央銀行が暗号資産と金融システムにおけるその役割についての議論に注力するようになったと指摘している。

 欧州議会はつい最近、MiCAを承認した。この新たな規制枠組みは、暗号資産分野における幅広い問題に対応しており、取引所、カストディ企業、投資顧問、ステーブルコイン発行企業、EU(欧州連合)市場内で営業するその他の企業に影響するものである。
 
 マクルーフ総裁は、「EUで完全に導入されるのは25年初頭だが、暗号資産活動の規制において重要な一歩となる」と述べた。

●暗号資産はなくならない

 しかし、マクルーフ総裁は、中央銀行が技術革新の利用を目指す中で、「真の一歩前進」が起きていると考えている。

 同総裁は例として、BIS(国際決済銀行)のイノベーション・ハブ・エコシステム・センターが、DeFi(分散型金融)ツール、ブロックチェーン、スマートコントラクトの「適切な利用」に取り組んでいることを挙げた。

 アイルランド中銀は技術革新を重視しており、「私たちが重要な技術変革の瞬間にいることを認識している」とマクルーフ総裁は述べ、いかなる変化にもリスクとメリットが伴うと加えた。

 「もちろん、暗号資産がすぐになくなることはなく、その性質上、リスクに見合ったレベルで規制・監督するためには国際的な協力が必要である」

 マクルーフ総裁は、暗号資産市場は他の金融市場と同じ扱いを受けるべきで、顧客資産の取扱い、開示、ガバナンス、リスク管理、情報交換に関して同様のルールを導入しなければならないと結論付けた。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/irelands-central-bank-governor-labels-unbacked-cryptos-as-ponzi-schemes.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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