大金持ちのウィンクルボス兄弟、暗号資産取引所ジェミニの不振で危機的状況に
暗号資産(仮想通貨)取引所ジェミニを取り巻く問題がここ最近で新たな局面に入り、創設者のタイラー、キャメロン・ウィンクルボス兄弟は数々の困難に直面している。
ジェミニは、市場シェアの縮小、規制問題、SEC(証券取引委員会)による提訴、銀行パートナーとの取引解消の可能性、重要な債務返済期限などの問題に悩まされている。
ブルームバーグの報道によると、同社パートナーの融資企業の親会社が返済した場合、閉鎖された同社の「アーン商品」に凍結されている9億ドル相当の暗号資産預金の一部を回収することができる。
取引活動はここ最近で緩やかに回復しているが、規制圧力の高まりに加えジェミニの市場シェアが少ないこともあり、同社が立ち直ることは容易ではない。
米コーネル大学の教授で「お金の未来:デジタル革命は通貨と金融をどう変えるか」の著者であるEswar Prasad氏は、「市場シェアの小ささと規制関連の問題は、ジェミニの暗い未来を予感させる」と述べている。
それに加えて、最近の市場低迷で損をした個人投資家が懐疑的になっていることもあり、「ジェミニのような取引所が適切なニッチ市場を見つけることが困難になっている」と指摘した。
米国での取り締まりを受けて海外に目を向ける米暗号資産企業が増えている中、ウィンクルボス兄弟も先週英ロンドンで目撃されている。
そこで同氏らは規制当局と会い、英国に第二の本社を置く可能性について話し合ったという。
ウィンクルボス兄弟は25日、新たなヨーロッパ拠点としてダブリンに欧州本部を置くと発表している。
●ジェミニ、米国外でデリバティブ取引所を開設
同社は最近、米国、英国、EU(欧州連合)を除く多くの地域でデリバティブ取引所「Gemini Foundation」を立ち上げた。また、インドに開発拠点を設立する計画も発表している。
ブルームバーグの計算によると、ウィンクルボス兄弟はそれぞれ32億ドルの個人資産を保有している。兄弟にはジェミニに自己資金を投入できる能力があり、実際ここ最近の暗号資産低迷期に同社に融資を行っている。
ジェミニは取引手数料に大きく依存しているため、取引量が多ければ多いほど利益が増える。
ジェミニの取引量は、22年最終四半期と比較して23年第1四半期に46%減少しており、最大規模の減少幅を記録した。また、同社は市場シェアの回復にも苦戦している。
一部のアナリストらは、大手競争他社がジェミニを買収することが良い結果につながるかもしれないと考えている。
「ウィンクルボス兄弟は強いブランド力を持っている」とデューク大学で財政学教授を務めるキャンベル・ハーベイ氏は言う。コインベースやクラーケンなどの大手企業との「合併の可能性も考えられる」と述べた。
しかし、ジェミニが抱える法的問題により、売却が難しくなる可能性もある。
まず閉鎖された「アーン商品」についてだが、ジェミニと提携する融資企業ジェネシス・グローバル・キャピタルが破産を申請した11月中旬以降、顧客は資金を引き出すことができていない。
ジェミニはアーン商品ユーザーに代わり、ジェネシス・グローバルおよびジェネシス親会社のデジタル・カレンシー・グループ、その他の債権者と暫定的な和解を交渉したが、いまだ最終的な決定には至っておらず、議論は依然続いている。
1月、SECは、アーンを通じて未登録の証券を販売した疑いがあるとして、ジェミニとジェネシスの両社を提訴した。
SECは、「永久的な差止請求、不当に得た利益と判決前利息の没収、民事罰」などの措置を求めている。
「裁判所に求める救済措置の1つは、すべての人がお金を取り戻すことだ」と、SECのインターネット執行局元局長ジョン・リード・スターク氏は当時述べていた。
ジェミニの苦難を見ると、同社が立ち直ることができるのか、それともこのまま不安定の状態が続くのか疑問である。
(イメージ写真提供:123RF)
This story originally appeared on cryptonews.com.
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