韓国の国会、「仮想資産ユーザー保護法」を承認
●新たな投資家保護措置を義務付けへ
韓国の国会は6月30日、暗号資産(仮想通貨)に特化した法的枠組みとして「仮想資産ユーザー保護法」を承認した。今後政府に回送され、一年以内に発効となる見込みだ。
この法律は、仮想通貨取引などについて不正な行為に罰則を課し、サービスプロバイダーが投資家の利益を保護するために特定の要件を遵守することを求めるものだ。
内容としては、主に以下のような項目を盛り込んでいる。
・ユーザー資産の保護のために、預金保護、仮想通貨の保管、保険の加入、仮想通貨取引記録の保存などに関する事項を規定
・相場の操縦行為、不正取引などを規定し、損害賠償などを定める
・仮想通貨事業者に対する、金融当局の監督に関する事項を規定
・不正取引行為や法律違反者に対する処罰や罰金を規定
・韓国銀行(中央銀行)が、政策上必要な場合、仮想通貨企業にデータを要求できる権利を規定
この法案の中心人物の一人は、与党人民の力党の仮想資産特別委員会のメンバー、ファン・ソクジン氏だ。
ソクジン氏はこの法案について、仮想通貨ユーザーの法的権利を確立し、より安全で信頼性の高い市場を創設すると述べている。
●設立の背景
「仮想通貨ユーザー保護法」の設立背景の一つとしては、2022年の旧テラエコシステムの崩壊や、大手取引所FTX破綻なども挙げられている。起案者らは、一連の事件により、仮想通貨ユーザーに多大な損害を与え、仮想通貨市場に対する信頼度の低下にもつながったと指摘する形だ。
こうした中、従来の金融投資商品では、相場操縦や不正取引などが禁止される一方で、仮想通貨については法制度が存在しておらず、被害が発生しても処罰や被害者救済などで対応に困難がある状況だと述べている。
このために、まず仮想通貨ユーザー保護と不正取引規制中心の立法が必要だったとしている。
最近、欧州連合(EU)で仮想通貨に関する法律が制定されるという動きがあったが、まだ仮想通貨市場や業界全般について、国際的に合意された基準は不在であるとも続けた。
――EUの包括的仮想通貨規制法案
法案の起案者らが述べたように、EUは6月、仮想通貨に関する包括的な規制案「MiCA」を正式に承認している。
このうち、ステーブルコインの準備資産やリスク開示などに関する規定は2024年7月より発効し、他の規定の大部分は2025年1月まで施行されない見込みだ。
なお、欧州中央銀行のクリスティーヌ・ラガルド総裁は、将来的にはMiCAを、ステーキングやレンディング、DeFi規制などにも拡大する必要があると話している。
(イメージ写真提供:123RF)
CoinPostに掲載された記事を、許可を得て転載しています。
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