暗号資産とステーブルコインはマネーではない、「高度なデジタルマネー」を支持―英中銀総裁
BOE(イングランド銀行、英中銀)のアンドリュー・ベイリー総裁は、ロンドンのマンションハウスでのスピーチで、暗号資産(仮想通貨)に反対する姿勢を改めて示した。
以前からデジタル通貨の投機的性質に懸念を表明していたベイリー総裁は10日、ビットコイン(BTC)には「本質的な価値がなく、変動が激しい」と指摘。また、ビットコインなどの暗号資産は「非常に投機的な投資として扱うのがベスト」だと述べた。
さらに、テザー(USDT)やUSDコイン(USDC)といったステーブルコインは「堅牢ではない」と主張。
「ステーブルコインは、われわれが金融システムにおける安全な貨幣として期待される基準を満たしていない。特に、両者とも単一性と決済完了性という基本的なテストに失敗している。それらはマネーではない」と述べた。
しかし、ベイリー総裁は、「高度な形態のデジタルマネー」の見通しはより明るいと考えている。
同総裁は、「高度なデジタルマネーとは、例えばいわゆるスマートコントラクトにおける条件付きのアクションなど、単純なものから非常に複雑なものまでより多くの実行可能なアクションを添付する能力を持つマネーの単位と定義することができる」と説明。
米国やスイスで起きた多くの銀行の破たんやその結果は、マネーの単一性に疑問を投げかけている、とベイリー総裁は続けた。
ベイリー総裁は4月にも、法定通貨などの他の資産価値に連動するデジタル通貨であるステーブルコインは、マネーであると「自称」しているが、「確実な価値を持たない」と主張していた。
暗号資産に対するベイリー総裁の姿勢は一貫しており、こうした資産に関連するボラティリティと規制リスクについて投資家に警告している。
22年、テラのアルゴリズム型ステーブルコインであるテラUSD(UST)が崩壊したことで、暗号資産市場から数十億ドルが消え、中央銀行や金融規制当局はステーブルコインの「安全性」に疑問を呈した。
●イングランド銀行のリテール型CBDCの動き
BoEとBIS(国際決済銀行)は6月、「プロジェクト・ロザリンド」と名付けられたリテール型CBDC(中央銀行デジタル通貨)決済に関する1年間にわたる調査を完了した。
「BoEの観点からは、リテール型CBDCを推進する主な動機は、人々が日常生活で利用できる完全に機能的な中央銀行マネーを常に選択肢として確保することで、マネーの単一性を促進することである」
ベイリー総裁は、BoEがリテール型CBDCに取り組んでいるからといって、物理的な現金の発行へのコミットメントが変わるわけではないと強調。「現金は今後もなくなることはない」と述べた。
BoEのCBDCプロジェクトの責任者であるトム・マトン氏は最近のインタビューで、CBDCの基礎となる技術をまだ検討していると述べた。
ベイリー総裁はさらに、銀行やノンバンクが発行するステーブルコインの形をした「デジタル・ポンド」を創設する提案を受けていると明らかにした。
「われわれは、金融サービス市場法2023に含まれる権限に基づき、システミックなステーブルコインを規制するための提案をまもなく発表する予定だ」とベイリー総裁は述べた。
(イメージ写真提供:123RF)
This story originally appeared on cryptonews.com.
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