ロシア中銀が実社会でのCBDCの実験準備―デジタルルーブル発行間近か
ロシア中央銀行は、議会が重要なCBDC(中央銀行デジタル通貨)法案を承認したことを受け、8月からデジタルルーブルの実社会での実験を開始する可能性がある。
Interfaxによると、ロシア議会下院は11日の第3読会で同法案を可決した。
これにより、法案の主要条項は23年8月1日に国内法として成立することになる。
ロシア中銀は3月末、「本物の」デジタルルーブルトークンで実証実験を行う用意があると発表していた。
ロシア中銀は、13の商業銀行と提携を結んでおり、4月に実証実験を開始する予定であったが、「必要な法的枠組みがない」ために延期を余儀なくされていた。
ウクライナ侵攻を受けて米国主導の制裁を受けていることもあり、ロシア中銀はCBDC計画を迅速に進めようとしている。
制裁により、ロシアはドルによる国際取引から事実上締め出されている。
このため、モスクワに拠点を置く企業は、暗号資産(仮想通貨)だけでなく中国人民元などの通貨でも取引を行うようになった。
ロシア国民も、人民元口座の開設や暗号資産保有に関心を示している。中国のデジタル人民元に目を向ける可能性もあるだろう。
ロシア中銀は当分、「民間暗号資産」の使用を企業に認める意向のようだが、貿易分野での暗号資産の使用には激しく反対している。
その代わり、相互運用可能なCBDC、金(ゴールド)に裏付けられたステーブルコイン、そして期待の大きいBRICS地域のデジタル資産などの解決策を高く評価している。
ロシア中銀は以前からCBDCに取り組んできたが、現在は「実世界」での実験に移りたいと考えている。
その準備段階として、22年12月にCBDCの「プラットフォームの創設」を法制化する法案を作成した。
この法案は、ロシア中銀が自らの裁量で個々の商業銀行がCBDCと取引することを禁止する権利を有すると規定している。
また、ロシア中銀がデジタルルーブルプラットフォームの「ユーザーの輪」を指定し、取引や基準額を設定することも認めている。
さらに、利息の積立や共同ウォレットの開設を違法としている。
ロシア中銀のオルガ・スロボガトワ第一副議長は以前、「23年7月から8月」にかけて、デジタルルーブルを使った「最初の本格的な運用」を開始する意向であると明らかにしていた。
スロボガトワ氏は、国境を越えた「地域」でCBDCを利用するアイデアについても語っていた。
スロボガトワ氏は、国境を越えたCBDCのアイデアを「素晴らしい」と称している。同氏によると、ロシア中銀は「多くの議論を重ねてきた」という。
しかし、同氏は次のように述べている。
「近い将来に(国境を越えたCBDCが)実現するかどうかはわからない」
●ロシア中銀、CBDC実験を推進-次の動きは?
スロボガトワ氏による発言の数日前、暗号資産に懐疑的なエリビラ・ナビウリナ露中銀総裁は、「BRICS同盟の単一通貨創設のアイデアは注目に値する」と語っていた。
しかし、ExpertNWの報道によると、ナビウリナ総裁はBRICSトークンの導入は「かなり難しい」と警告している。
同総裁は次のように述べた。
「超国家通貨は多くの当事者の同意を必要とする。決して簡単なプロジェクトではない。そのため、私たちは現在も、各国の通貨を使った二国間決済の開発に尽力している。また、決済システムをつなぐインフラの開発も進めている」
(イメージ写真提供:123RF)
This story originally appeared on cryptonews.com.
最新記事
ランキングページ
ビットコイン詳細ページ
イーサ詳細ページ
XRP詳細ページ