仏プライバシー監視当局がワールドコインのデータ収集に懸念表明、独と協力し調査

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 フランスのCNIL(情報処理及び自由に関する全国委員会)やドイツのバイエルン州当局などのヨーロッパの規制当局は、ワールドコインのデータ収集方法について懸念を表明している。

 CNILは28日のメールで、「この収集の合法性は疑わしい。生体認証データの保存条件も同様だ」と述べた。

 オープンAIのサム・アルトマン氏が共同設立したワールドコインは、6月24日にローンチした。ワールドコインプロジェクトとは、20カ国数百万人の虹彩をスキャンすることで、「ワールドID」と呼ばれる「デジタルパスポート」を付与し、プロジェクトのネイティブトークンで25WLDの報酬を配布するというものだ。

 その目的は、AI(人工知能)の影響力が増す中で、個人が人間であることを確認し、ロボットと区別する手段を提供することである。

 しかし、データプライバシー、セキュリティ、データ収集をめぐる懸念が浮上し、フランスのプライバシー監視当局であるCNILによる調査につながっている。

 CNILは、ドイツのバイエルン州当局と協力し、ワールドコインに関連するこれらの問題に取り組んでいる。

●ワールドコイン、試験期間中に登録者数210万人達成も課題に直面

 ワールドコインの公式ウェブサイトによると、2年間の試験期間中に210万人の登録があったという。正式ローンチ後、7.6秒ごとに1つのワールドIDが認証されており、毎日記録が更新されていると同社はツイッターで誇らしげに語っている。

 同社は24日のローンチ以降、ソウルやメキシコシティ、パリなどの都市に設置されたオーブ(ワールドコインの生体認証デバイス)の写真を投稿している。

 アルトマン氏が共有したビデオでは、日本人が色彩をスキャンし、「無料の」ワールドコイン(WLD)トークンをもらうために並んでいる様子が映し出されていたが、同社は登録者の獲得に苦戦している。

 香港では、3つの設置場所で初日に登録したのはそれぞれ約200人、合計でわずか600人だった。

 アルトマン氏は、消費者の関心は高く、「世界中で熱狂的な列ができている」と語っているが、この数字は大規模導入への道のりの険しさを示している。

 しかし、ワールドコインは今後重要都市のオーブを大幅に増やす計画を発表しており、登録者数の5倍増を目指している。

●物議を醸すワールドコインプロジェクト、さまざまな反応と規制当局の注意を集める

 ワールドコインプロジェクトは、暗号資産(仮想通貨)コミュニティでさまざまな反応を呼んでいる。中央集権化に懸念を示すものもいる一方で、個人認証はAIの存在感が高まる中で必要な対策だと見るものもいる。

 英ICO(情報コミッショナーズ・オフィス)は、組織が「リスクの高い」情報を収集する際にはデータ保護影響評価を実施しなければならないとして、同プロジェクトを調査中であると発表した。

 イーサリアム(ETH)共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏などの暗号資産分野の著名人たちも警鐘を鳴らしている。

 ブテリン氏は、ワールドコインには「大きな問題」があると警告。特に、虹彩スキャンによって性別、民族性、場合によっては病状などの重要な個人情報が漏洩する可能性を指摘した。

 ワールドコインはプライバシーに関する懸念について、GDPR(EU一般データ保護規則)や英データ保護法などのデータ保護関連の法律を遵守していると表明した。

 同社は、プライバシーおよびデータ保護に関する調査に関して、監視機関と協力すると約束した。また、大手企業の助けを得て、英国で包括的なデータ保護影響評価を実施することにも言及している。

 さらに同社は、個人データの削除を求める個人の要求に速やかに対応するとしている。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/french-privacy-watchdog-raises-concerns-over-worldcoins-data-collection-collaborating-with-germany-for-investigation.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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