中小企業のクロスボーダー決済:銀行にとっての成長機会

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 中小企業は世界の企業の90%を占め、多くの地域経済にとって極めて重要な存在である。伝統的な銀行インフラと金融サービスは、拡大するB2Bクロスボーダー決済のニーズに対応することはできていないが、銀行にはこの収益性の高い顧客層を開拓する大きなチャンスがある。

 リップルの最新ホワイトペーパー「中小企業向け決済における最大のチャンス」によると、このギャップを埋めるための競争が始まろうとしているという。銀行は、デジタル資産やブロックチェーンを使って中小企業向けの決済手段を改善することで、競争有利性を得ることができる。

 EPC(欧州決済協議会)メンバーの約90%は、ブロックチェーンが25年までに決済業界を変革すると考えている。つまり、市場シェアを獲得するには今が絶好の機会であるというのは明らかだ。

●中小企業が求めるスピード

 新型コロナウィルスの世界的な流行により、中小企業への注目は世界的に高まった。Citiの最新レポートでは、サプライチェーンの混乱を緩和する過程において中小企業が大きな役割を担うと強調している。さらに、マスターカードの「ボーダーレス決済報告書2022」では、中小企業の58%が20年以前よりも多くのクロスボーダー決済を利用していると指摘している。

 この傾向は世界中でみられており、インドでは4分の3の企業が、メキシコでは70%、サウジアラビアでは3分の2、中国および米国では60%以上の企業がクロスボーダー決済の利用を増やしたという。

 しかし残念ながら、B2B決済市場の市場規模は推定110兆ドルであるにもかかわらず、中小企業はほとんどの金融機関から十分なサービスを受けられていない。処理時間の遅さから高額な取引手数料、決済の透明性の欠如に至るまで、クロスボーダー取引は非効率的なものであり、中小企業にはそのような余裕はない。

 クロスボーダー取引プロバイダーは、中小企業に対し、決済完了を待つ間、現地通貨口座に事前に資金を準備しておくよう要求することが多く、他の事業分野でより良く活用できるはずの運転資金を縛り付けている。取引が決済されるまでに数日、あるいは数週間かかるということも、中小企業がグローバル決済を管理することを難しくしている。複雑なコンプライアンスや規制要件は、グローバル決済にさらなる摩擦をもたらすだけである。

 中小企業の63%は依然として伝統的銀行手法を用いて金融ニーズを満たそうとしているが、こうした不満や数十年にわたり改善がなされていない状況から、中小企業は我慢の限界を迎えているのかもしれない。中小企業の半数以上が、銀行・決済サービスを実施するためにフィンテック企業を利用し始めている。より多くの選択肢が与えられる中、リアルタイムで低コストかつ追跡可能なクロスボーダー決済ソリューションを展開する企業は、中小企業を引き付けてつなぎとめ、独自の顧客ポートフォリオを拡大させる絶好の機会を手にしている。

●成長への道

 満たされていない中小企業ニーズに応じることは、金融機関にとっての大きなチャンスである。分裂した規制環境、地域ごとに異なる決済インフラ、複雑な社内業務プロセスなど、すべてがこのチャンスを生かす妨げとなるだろう。

 しかし、ホワイトペーパーは、デジタルの接続性と規制の明確化が、革新的なフィンテックソリューションと組み合わさることで、こうした課題を克服する道を切り開いたと指摘している。暗号資産(仮想通貨)とブロックチェーンを活用した決済技術は、銀行が中小企業向けのクロスボーダー決済システムに革命を起こし、中小企業が求める効率性と相互運用性、透明性を提供するのに役立てることができる。

 「リップル・ペイメント」は、取引全体を通じてエンドツーエンドの可視性の高い、非常に安全な決済フローを提供する。ブロックチェーンの非中央集権的な性質により、仲介者を排除し、取引時間を迅速化し、処理コストを大幅に削減することができる。高速かつ安価なクロスボーダー決済を提供できる銀行は、中小企業にグローバル経済で繁栄できる機会を与えることで、110兆ドル規模のB2B決済市場にアクセスすることができるのだ。

 リップル・ペイメントは、中小企業をサポートし、新規顧客を獲得するために便利なオンランプを金融機関に提供するために開発された。新たな技術、特により良い価格とユーザーエクスペリエンスの向上を提供する技術を取り入れることは、収益を伸ばし、グローバルフットプリントを拡大させるためのカギとなる。

●銀行、決済イノベーションをリードできる

 世界経済が進化を続ける中、中小企業は変革の最前線に立ち、より良いクロスボーダー決済ソリューションの需要をかき立てている。

 暗号資産とブロックチェーンを中心としたソリューションを採用することで、金融機関はクロスボーダー決済に関連する課題を克服し、効率性、透明性、協力の新時代を育むことができる。その結果、中小企業がグローバル経済で最大限の力を発揮し、金融機関が革新的な決済ソリューションのパイオニアとしてその地位を確立できるエコシステムが繁栄することになるだろう。

 前進の余地が十分にある今こそ、金融機関が先頭に立って前例のない方法で中小企業の需要を満たし、国境を越えた商取引の未来をより良く変えていくときである。

(イメージ写真提供:123RF)

https://ripple.com/insights/sme-cross-border-payments-a-growth-opportunity-for-banks/

This story originally appeared on Ripple Insights.

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