RBAが4つの重要分野でCBDCのユースケースを模索、導入検討は「数年先」と

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 オーストラリアの事実上の中央銀行であるRBA(オーストラリア準備銀行)は、CBDC(中央銀行デジタル通貨)実証実験プロジェクトの調査結果を発表した。それによると、CBDCは「決済システムの一部の分野において効率性と耐久性を向上させる」可能性を有しているという。

 RBAは23日に公開された報告書の中で、「法律、規制、技術、運営上の考慮事項」を含むリスクに対処するためさらなる調査が必要であると警告している。これを踏まえ、RBAは次のように述べた。

 「オーストラリアでのCBDC発行に関する政策検討を真剣に行うのは、まだ数年先になりそうだ」

 RBAは22年、DFCRC(デジタル金融共同研究センター)と共同で、デジタル豪ドル(eAUD)の潜在的なユースケースを探る研究プロジェクトを開始。

 報告書では、「CBDCは民間セクターのイノベーションの代替というよりも、むしろそれを補完するものとみなすことができる」と指摘している。

 プロジェクトでは、ANZ銀行によるオフライン決済、オーストラリア債券取引所による社債決済、カンバス・デジタルによるトークン化FX決済など、23年3月から5月にかけて合計16個のユースケースが業界参加者から提案された。

 RBAは、選定された業界参加者が関与する規模を限定した「試験的」CBDCを使途制限付きで発行した。

 「CBDCが単に概念実証であったこれまでのプロジェクトとは異なり、この『試験的』CBDCはRBAに対する実際の法的請求として発行された」

 プロジェクトは、CBDCがオーストラリアの家計と企業に利益をもたらす可能性のある4つの重要分野に注目している。

 ブラッド・ジョーンズRBA総裁補佐は23日、CBDCがどのようにして「オーストラリアの金融システムと経済全体に利益をもたらす可能性がある」のかが明らかになったと述べた。

 「プロジェクトから得られた重要な知見は、オーストラリアのお金の未来に関するRBAの次の研究プログラムを形作るのに役立つだろう」と同氏は述べた。

●CBDC、可能性と問題点

 RBAによる研究は、デジタル豪ドルが決済システム機能の強化に利用され得る、さまざまな分野について深く掘り下げている。例えば、取引の「アトミック決済」の簡素化や、プログラム可能な決済の実現、「トークン化」資産の市場創出などが挙げられる。

 研究プロジェクトで提出されたユースケース案の多くは、CBDCによって完全に裏付けされた民間ステーブルコインの可能性に注目している。

 RBAとDFCRCはリスク要因を指摘し、プロジェクトの中で挙げられた多くの問題は、「今後の研究でさらに検討する必要がある」とした。

 報告書はまた、デジタル豪ドルが現行の規制枠組みにどのように適合するかについての不確実性にも留意している。

 「いくつかの不確実性は、試験的CBDC自体の特注性に関連している。例えば、試験的CBDCは、法的枠組みに基づいてというよりはRBAの契約責任として発行されたが、将来的にCBDCを発行することが決定された場合もそうなる可能性が高い」

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/report-australia-explores-cbdc-use-cases-four-key-areas-says-technology-some-years-away.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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