米財務省、デジタル資産ブローカーに新たな報告要件を提案
米財務省とIRS(内国歳入庁)は25日、脱税を取り締まるため、また法律を遵守する納税者が納税額の計算に役立てられるよう、デジタル資産ブローカーに特定の販売と取引を報告するよう求める新たな要件を提案した。
財務省の公式ウェブサイトに掲載された発表によると、「この規制案はブローカーによる税申告に関する規定を明確化・調整し、デジタル資産ブローカーを証券やその他金融機関と同じ情報報告規定の対象とする」ものであるという。
財務省とIRSによると、現行の税法では、デジタル資産の税金計算は「難しく、コストがかかる」ものだ。
新たな提案では、ブローカーは新フォーム1099-DAの提出を義務付けられることになる。これにより、納税者は税務義務があるかどうかを判断することができる上、確定申告のために複雑な計算をしたり、デジタル資産税準備サービスに頼らずに済むということだ。
「これらの規制案は、デジタル資産に関する税務報告を他の資産に関する税務報告と同等にするものであり、結果として異なる種類の資産間での優遇措置を回避することができる」
この規制案が承認されれば、主要暗号資産(仮想通貨)取引所はIRSに顧客情報を報告することが義務付けられることになる。
現在、規制案は一般からの意見や評価を募集している。
意見書は10月30日まで受け付けており、公聴会は11月7日と8日に予定されている。
●米下院金融サービス委員会委員長、暗号資産税制案は導入を「阻止」する試みと指摘
米下院金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー委員長(共和党)はこの規制案について、バイデン政権が米国での暗号資産導入を「阻止」しようとしていると指摘した。
規制案は、DEX(分散型取引所)もターゲットにしているためだ。
ユニスワップなどのDEXは、プラットフォームの機能を簡単に変更する(ユーザー情報を収集してIRSにわたすなど)裁量を有する事業体によって中央管理されていない。
そうではなく、イーサリアム(ETH)ネットワークなどの分散型ブロックチェーンプロトコルに配置された、変更不可能なスマートコントラクトによって運営されている。
デルファイ・ラボの法務部長であるガブリエル・シャピロ氏のツイートによると、規制案は「P2P(ピアツーピア)プロトコルの使用に壊滅的な打撃を与える可能性」があるという。
一方、Decryptoによると、暗号資産擁護派非営利団体「ブロックチェーン・アソシエーション」のクリスティン・スミスCEO(最高経営責任者)は、「新たな報告要件を考えると、プラットフォームやプロトコルは規制に順守するために中央集権化する必要があり、安全性や透明性など分散化によるすべての利点を排除することになる」と述べた。
新規制はデジタル資産の報告要件を他の資産クラスと同等にするものであり、公正であると主張する意見もある一方で、特にDEXなどの分散型アプリケーションも対象とする規制案は、米国政府が暗号資産エコシステムに対して過度の支配を行使しようとする試みであると非難する人もいるだろう。
結局のところ、暗号資産の中心的な理念は分散化であり、自尊心のあるDEXプロトコルであれば、米国政府の情報収集や報告要件に屈することはないだろう。
この規制案は、米国におけるDEX利用の全面的禁止につながり、Web3の導入を妨げる可能性がある。
(イメージ写真提供:123RF)
This story originally appeared on cryptonews.com.
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