暗号資産のマーケット・メーカーに打撃、業界変動で収益性30%低下
取引を促進し売買価格のスプレッドから利益を得る暗号資産(仮想通貨)のマーケット・メーカーは、かつて収益性の高い事業だったが、最近は逆風にさらされている。
その大きな要因の1つが、約2兆ドルの価値が失われた22年の暗号資産の市場低迷を受けた、投資家の間での警戒感の高まりだ。ブルームバーグが5日に伝えた。
FTXなどの取引所の破産によって、大量のデジタル資産が破綻したプラットフォームに取り残されており、マーケット・メーカーは今後の混乱の可能性を懸念している。
これらのリスクを緩和するため、各社はいくつかの戦略を採用しているが、これはエクスポージャーを減らす一方で利益率も低下させるものだ、とブルームバーグは伝えた。
その手法の1つが、集中リスクを避けるために複数の暗号資産取引所に活動を分散させることだ。
さらに、取引所外でデジタル資産を保管し、それらを担保として暗号資産プラットフォームに配置するトークンを借り入れているマーケット・メーカーが増加している。
この担保は通常、カストディアンやプライム・ブローカーが保管し、取引所が破綻しても危険に晒されるのは借り入れたトークンのみとなる。
●事業コストの増加
当然ながら、リスク緩和策にはコストがかかる。
ブルームバーグによると、担保を管理する仲介業者の利用によって、取引所で直接コインを使うよりも収益性が20%から30%低下する。
この利益率の低下にも関わらず、市場参加者はこの戦略の必要性を認識しており、暗号資産市場で事業を行うために今やコスト増加は避けられないことに同意している。
暗号資産に特化したマーケット・メーカーのアウロスで取引責任者を務めるリ・シ氏はブルームバーグに対し、「FTXの破綻は業界にとって警鐘だった」と語った。
シ氏は、デジタル資産を取引所に留めるリスクは常に優先事項というわけではないが、状況は変わったと語った。
「(...)今やコスト増加が事業を行うための方法になることを理解している」と同氏は述べた。
●市場の厚みで流動性の低下明らかに
一方、暗号資産取引所の市場の厚み、すなわち価格に影響を与えずに大口の注文を吸収する市場の能力を分析することで、パンデミック時代の強気相場と比べて流動性が著しく低下していることが明らかになった。
暗号資産調査会社カイコの文書によると、取引所においてビットコイン(BTC)の仲値の2%以内に収まる取引数は、22年10月から60%超減少している。
ブルームバーグはカイコの文書を引用し、「マーケット・メーカーがFTX後にリスク管理戦略を恒久的に見直したり、損失を被ってこの分野を離れたりしたという構造的な理由によるところもあるが、このボラティリティの低い状況も流動性プロバイダーが市場を離れる一因となっている」と述べた。
(イメージ写真提供:123RF)
This story originally appeared on cryptonews.com.
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