米SEC、Linus Financialと和解 仮想通貨有利子口座で

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●仮想通貨有利子口座を未登録証券だと指摘

米証券取引委員会(SEC)は7日、暗号資産(仮想通貨)関連のサービスを提供していた金融テクノロジー企業Linus Financialと、未登録証券の提供・販売に関して和解したと発表した。同社の協力を理由に罰金は科していない。

SECの命令書によると、Linus Financialは2020年3月頃より、米国で「Linus利子口座」の提供・販売を行っていた。SECはこれが有価証券であったとみなしている。

このサービスはステーブルコインUSDコイン(USDC)を使うものだった。仕組みとしては、米国の投資家が出資した米ドルをLinus FinancialがUSDCに変換し、同社が管理する中央口座にプールして、利息を生み出すために活用するものである。

プールしたUSDCを、スマートコントラクトを用いた分散型金融(DeFi)の流動性プールに移したり、第三者機関の借り手に対して貸し付けるなどして、投資家に利息を支払うための収益を生み出していた形だ。

Linus Financialは、投資家が預けた米ドルに対して3.5%から4.5%の年率利回り(APY)で金利を提供していた。投資家は、同社に預けている資産の全部または一部や利息について、いつでも銀行口座に引き出すことが可能だった。

Linus Financialは、そのウェブサイトやブログ、Instagramなどソーシャル メディアや、検索広告などを通じて、このサービスの宣伝を行い、米国の投資家を勧誘していた。

SECは、このサービスには投資契約が含まれており、証券法に基づく法律の対象となるとみなしている。

●迅速なサービス撤回を理由に罰金は科さず

SECは、Linus Financialに対してサービスの提供中止を命じたものの、同社が協力したことを理由にして民事罰は科していない。

SECは、今回と同様、仮想通貨有利子口座を未登録で提供していたとして、2022年2月に大手仮想通貨レンディングサービスプラットフォームBlockFiと和解し、約115億円の罰金を科している。

その後3月にSECはLinus Financialとも連絡を取った。この際SECの指摘を受けて、Linus Financialは新規投資家への金利口座の提供を中止し、既存投資家に対して2022年4月下旬までに資金を引き出すよう求めていた。その後、投資家の資金がすべて引き出されている。

SEC執行部アソシエイトディレクターのステイシー・ボガート氏は次のようにコメントした。

"SECは、今後も証券法の遵守を怠った企業の責任を追及していく。"

"しかし同時に、私たちは問題が発生した場合に企業が協力し、迅速な是正措置を講じることを奨励したい。今回の和解は、他の市場参加者に、協力と是正措置の重要性を伝えるメッセージでもある。"

(イメージ写真提供:123RF)

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CoinPostに掲載された記事を、許可を得て転載しています。

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