CBDC:世界の銀行システムの新たな章
ブロックチェーン技術の登場と実世界でのユースケース、そして現金利用の世界的な減少が相まって、今日CBDC(中央人口デジタル通貨)の研究開発が急増している。
10分の9の中央銀行がCBDCを積極的に検討しており、ジュニパー・リサーチはCBDC決済が30年までに2130億ドルに達すると予想している。このトレンドは、リップルの最新レポート「ニュー・バリュー・レポート」の中で、世界の金融リーダーによって共有された意見にも反映されている。
同レポートの調査対象者の90%が、CBDCのようなデジタル資産が今後3年間でビジネス、金融、社会に重要かつ多大な影響を与えることになると予想している。また、調査を受けた金融リーダーの80%以上が、今後3年以内に暗号資産(仮想通貨)、ステーブルコイン、CBDCのいずれかを自身のビジネスに活用し始める可能性があると回答している。
●世界的な普及が進む
23年6月時点、世界のGDPの95%以上を占める114カ国以上がCBDC研究開発のさまざまな段階にある。アトランティック・カウンシルによると、11カ国はすでにCBDCを本格的に立ち上げており、23年はさらに20カ国がデジタル通貨の試験的導入に向けて大きな一歩を踏み出す予定だ。
中国はCBDC開発において世界をリードしており、デジタル人民元の月間取引量は36億ドルを超えている。パラオなどのマイクロ国家もまた、持続可能な目標と金融包摂を支援するため、デジタル通貨の持つ可能性を模索している。多くの国民は船や水路を使って現金を移動させるのが最も効率的な方法であると考えているパラオなどの国では、CBDCは現代のデジタル時代を受け入れるための良い機会となるだろう。
●政府のユースケースが増加
CBDC開発の動機は、この技術の想定されるメリットと同様に多様である。金融のような分野では、CBDCは国内および国境を超えた決済の効率化を促進することができる。つまり、より迅速な処理と即時の送金が可能になるということであるが、どちらも国際的な商取引に不可欠な要素である。
CBDCはまた、決済やクレジット商品へのアクセスを増やすことで、金融包摂の拡大にも役立てることができる。また、その基礎となるブロックチェーン技術は、さまざまな仲介業者からのコストを削減し、手数料を排除するのに有用であり、より多くの人々が金融サービスをより利用しやすくなる。
リップルのCBDC担当副社長であるジェームズ・ウォリス氏は、「金融包摂や低コストのサービスのような明確な利点を持つCBDCを導入する地位と能力を持つ中規模経済には、スイートスポットがある」と述べている。
そして、世界中の家計のかなりの割合(インドでは22%、ブラジルでは20%)がすでにデジタル資産を所有しているという今、一部の中央銀行は、CBDCを自国経済の将来性を高めつつ、財政・金融政策のコントロールを維持する方法として評価している。
プライバシーとサイバーセキュリティ対策の両方を備えた設計であれば、中央銀行の不正行為対策にも役立てることができる。
●民間部門が消費者導入を促進
CBDCは個人、企業、国家にこのような変革的な利益をもたらす可能性を秘めているが、エンドユーザーと密接に協力することでエンドユーザーのニーズを熟知している商業銀行は、導入促進において極めて重要な役割を果たすことができる。
「官民間の協力が不可欠だ」とウォリス氏は語る。「革新者になるというのは中央銀行の使命ではない。中央銀行は中核となるインフラを管理することはできるが、民間部門が市民の利益になるような新しいユースケースのほとんどを導入することになるだろう」と述べた。
また、商業銀行は、ホールセール型CBDCを使った銀行間決済や、エンドユーザーがCBDCで取引するためのデジタルウォレットを保有することを可能とするようなユースケースにおいて、重要なインフラプロバイダーとしての役割を果たすことになる。
●CBDCの未来は確かなもの
CBDCは世界の銀行システムを再構築しようとしている。セキュリティ、安定性、より良いデータ管理といった利点に賛同する声に後押しされ、このテクノロジーは世界各国で積極的に定着しつつある。
残された唯一の問題は、「もし」ではなく「いつ」世界の金融システムをより良いものに変えるかということである。
(イメージ写真提供:123RF)
https://ripple.com/insights/cbdcs-a-new-chapter-in-global-banking/
This story originally appeared on Ripple Insights.
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