EU諸国の中央銀行、CBDCなど決済用新技術を検討開始

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●CBDC含む新技術を検討

フランス中銀のフランソワ・ヴィルロワ・ド・ガロー総裁は3日、欧州連合(EU)各国の中央銀行が、中央銀行資金の決済のための新技術の検討を開始したと述べた。中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行についても考慮対象に入っているとしている。

ガロー氏は、この技術について適格性基準などの詳細は、今後数週間で発表する予定だと話した。さらに、新技術を使った実際の取引テストも、2024年以降に実施する計画だと説明している。

その上で、スマートコントラクトと連動する許可型ネットワークによるシステムも有望だと続けた。こうしたネットワークにより、各中央銀行はマネーサプライをより細かく管理できるようになり、インフレと金融安定性を監督していく際にも役立つという。

さらにガロー氏は、EU諸国の中央銀行は、ブロックチェーンの活用も検討しているが、銀行が独自に開発した証券決済システム用の分散型台帳の使用も検討していると話した。様々なシステムが決済技術として候補に挙がっている模様だ。

欧州中央銀行(ECB)理事会の9月7日のミーティングによると、ECBは、中央銀行におけるホールセール決済のための新技術の提案を求めているところだ。

ミーティングでは、ブロックチェーンプラットフォーム「オニキス」を運営しているJPモルガン、ゴールドマン・サックス、国際送金システムのSWIFTなどが、様々なブロックチェーン技術プラットフォームと他の通貨との間の相互運用性についてプレゼンテーションを行っていた。

●デジタルユーロ法案

EU委員会は6月に、欧州圏のCBDCであるデジタルユーロについての法案を発表している。EUの企業が原則的にデジタルユーロ決済を受け付けること、オンラインとオフラインの両方でデジタルユーロ決済ができるようにする内容などを盛り込んだ。

EUの人々や企業が、民間のクレジットカードやアプリなどの決済オプションに加えて、デジタルユーロによって、安価、安全なデジタル決済を行えるようにする。

なお、まだデジタルユーロを創設するかどうかについて最終的な決定は下されていない。欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は6月時点で、ECBが今年10月末までに判断を行うと述べていた。

デジタルユーロについてはプライバシーに関する懸念も挙がっているところだ。例えば、ドイツのニコラ・ビア議員はラガルド氏に対して、マネロンを抑止するための目的で身元確認情報を要求するような際には、プライバシー上の懸念が生じるとの趣旨で発言を行っている。

ラガルド氏は、こうした懸念に対処するためにも、仮にデジタルユーロを発行することになったとしても、実現までには二年以上かかるだろうと話した。

――IBMのレポート

IBMコンサルティングは8月、デジタルユーロが成功するために必要なことを考察するレポートを発表している。

消費者が使い慣れているような既存の決済手段を土台にして機能強化することや、 近接決済機能により強力なプライバシー保護を提供すること、中央管理型の分散型台帳を導入することなどを提案していた。

(イメージ写真提供:123RF)

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CoinPostに掲載された記事を、許可を得て転載しています。

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