カナダ銀行、金融市場におけるDeFiの革新性と課題を評価

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 カナダ銀行が、DeFi(分散型金融)の動向や、より幅広い市場規制の可能性を反映した職員による分析文書を公開した。

 17日に公開されたこの文書では、暗号資産(仮想通貨)市場の発展段階、その利点、伝統的金融が直面する課題、リスク、金融市場に与え得る影響、規制が示されている。

 このレポートによると、暗号資産は当初、ブロックチェーン上に展開された決済システムとして開発され、その後金融サービスの新たな分野へと多様化した。

 その分散化の目標を達成するため、第三者を排除して複数の取引を清算するスマートコントラクトが用いられ、最終的には2.9兆ドルの時価総額に達するサービスが生み出され、その後大手プラットフォームの破綻と規制上の障害によって価格は急落した。

 NFT(非代替性トークン)、分散型ステーブルコイン、主要サービスなど、この資産クラスは現在の市場に、新たなリスクと共に全く新しいニッチをもたらしている。

●カナダ銀行が利点を指摘

 同行が取り上げたこのエコシステムの1つの利点は、スマートコントラクトの構成可能性によってより多くの企業がサービスを作りやすくなっていることだ。

 これは、そのコードがオープンソースであり、開発者らが協力して他のネットワーク上で構築を行えるためだ。

 同行はまた、このエコシステムが従来の金融商品よりも魅力的になっている理由として、提供サービスの増加、競争の増加、透明性を挙げた。

 金融的独占の終了が決定づけられ、ほとんどのサービスの国際決済で国家間の支払が可能になり、相互運用性が向上することでユーザーは複数のプラットフォームで悪戦苦闘することなくシームレスな体験を享受している。

 また、DeFiは、新たな機能を提供する様々なチェーンによって、限定された不透明な取引に直面している金融市場の摩擦を減らすことができる。さらに、ブロックチェーン技術は、腐敗している可能性のある伝統的な仲介業者を締め出し実権を顧客に移すので、同技術の利用によって市場の透明性が向上する。

●市場リスクと規制

 DeFiは、その多数の利点にもかかわらず、限られたトークン化、高度の集中、未規制の中央集権組織といった、複数のリスクを世界の金融市場にもたらしている。

 「トークン化資産のみがブロックチェーン上に記録され、スマートコントラクトと相互作用できる。しかし、これまでのところトークン化された実物資産はほとんどなく、主に投機的な暗号資産取引に集中した自己参照的システムになっている。実世界の経済への貢献は依然として小さい」

 この分野に紛れ込んでいる中央集権型システムについては、同分野は分散化を謳っているものの、一部のプレーヤーは高度に中央集権化したままで、適切に規制されなければ関係者にリスクをもたらす。

 これは、中央集権型取引所に人気をもたらした秘密鍵の管理やその他のサービスの複雑さに由来するものだ。22年11月のFTXの破綻は、未規制の中央集権型プレーヤーがこの分野にリスクをもたらした典型例だ。

 同行は、伝統的な金融との関わり方も含め、この業界の悪意者の活動を阻止するために、全てのルートを対象とした十分な規制を提案している。

 最近では、カナダの証券規制当局の協会が、ステーブルコインの規制を明言し、証券の網にかからない発行と取引のプロセスに言及した。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/bank-of-canada-assesses-defis-innovation-challenges-financial-markets.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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