米金融規制当局、暗号資産法の成立求める報告書を発表

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 米国のFSOC(金融安定監視評議会)は14日に発表した年次報告書で、暗号資産(仮想通貨)法を可決するよう議会に改めて要請した。

●暗号資産の脆弱性に対処

 FSOCの最新の報告書では、非証券であると分類される現物市場の暗号資産に対する規制を強化するよう求めた22年の報告書での提言を繰り返している。

 報告書は14の異なる経済的脆弱性をまとめ、「米国における金融機関および市場の整合性、効率性、安定性をさらに強化するための提言を行う」と述べた。

 暗号資産に関して、「暗号資産の価格変動、市場におけるレバレッジの高い使用頻度、業界内の相互接続性の程度、運用リスク、暗号資産プラットフォームおよびステーブルコインでの取り付け騒ぎリスク」など、一連の脆弱性を指摘した。

 さらに、「トークン所有権の集中、サイバーセキュリティリスク、適用される法律や規則を遵守しないプラットフォームの拡散」など、暗号資産市場には多くの潜在的な脆弱性があると警告した。

●規制強化の1年

 多くの主要プレイヤーが規制措置を受けるなど、暗号資産業界が激動の1年を過ごす中でこの報告書は発表された。

 11月、サム・バンクマンフリード氏が自身で証言を行った1カ月にわたる裁判を経て、陪審はこの失脚した「暗号資産の王」に詐欺罪で有罪の判決を下した。

 同月、バイナンスの創設者である「CZ」ことチャンポン・ジャオ氏は、連邦政府のマネーロンダリング規則違反で起訴され、同社のCEO(最高経営責任者)を退任した。

 最近では、米IRS(内国歳入庁)が破たんしたFTXに対して240億ドルの返還を求める税金請求を行い、FTX債務者が同社の破たん後に資金を取り戻せる可能性が脅かされた。

 さらに、元地域市場責任者のリチャード・テン氏がCEOの後任に就任した後、バイナンスは世界初の暗号資産3者間銀行協定を実行した。この協定は、顧客がカウンターパーティーリスクを軽減するため、取引所外で担保を保管できるようにするというものである。

●「耐久性のある」金融システム

 ジャネット・イエレン米財務長官は、FSOCの2023年報告書の発表と時を同じくして行った発言で、米国の金融システムは「耐久性を維持している」が「脆弱性も残っている」と指摘した。

 「23年の世界の経済不安定性と春の銀行部門の混乱に直面した米国の金融システムの耐久性は、世界金融危機後に実施された改革の証しである。この1年で起きた出来事は、金融システムの耐久性を強化し、幅広い脆弱性を監視するFSOCの継続的な取り組みの重要性を強調し続けている」とイエレン氏は述べた。

 FSOCの報告書は、暗号資産を効果的に法制化し、規制する方法について、議会が議論を加速させる中で発表された。しかし、政府内に手詰まり感が広がり、内輪もめが続いていることは、暗号資産法を可決することが困難な、「長い立法の冬」の始まりであることを示唆しているのかもしれない。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/financial-regulators-urge-congress-to-pass-crypto-legislation-in-new-report.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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