韓国当局がワールドコイン調査へ 個人情報保護で懸念

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●韓国もワールドコインの調査へ

韓国の個人情報保護委員会は2月29日、暗号資産(仮想通貨)ワールドコイン(WLD)に関連して、個人情報の収集・処理方法についての調査に着手すると発表した。

この措置は、虹彩スキャンなど個人情報の収集・処理に関する苦情を受けて行われるものだとしている。

同委員会は、ワールドコインのデジタルIDに関して、韓国内での個人情報収集や、その海外への移転全般を調査する予定だ。個人情報保護法に違反する行為があった場合には、適切な対応を行うと述べている。

また、ワールドコインは現在、韓国の10か所で人々の顔と虹彩のデータを収集しているとも続けた。

ワールドコインは、ChatGPTで知られるサム・アルトマン氏が会長を務める企業Tools of Humanityによって進められているプロジェクトだ。「Orb(オーブ)」という装置で人間の虹彩をスキャンし、その生体情報に基づく個人IDを付与している。

現時点までに世界の36か国でID認証を行っており、登録人数は約399万人に達しているところだ。

●各国の当局が懸念を表明

ワールドコインの生体認証をめぐっては、昨年より各国の当局がプライバシー保護をめぐって懸念を表明してきた。ドイツ、フランス、英国など複数国の規制当局が、生体情報管理に関する調査を開始している。

そのことも背景に、ワールドコインは昨年7月、2つの監査会社によるセキュリティ監査報告の結果を発表した。セキュリティや機密情報保護についての推奨事項が挙げられており、セキュリティについてワールドコインは多くの問題点に監査後すぐに対応したとされる。

しかしその後、ワールドコインは昨年12月、インド、ブラジル、フランスで虹彩によるID登録サービスを一時的に停止した。

最近では香港のデータ保護当局も1月に地元のワールドコイン施設6か所を調査開始した。虹彩スキャンによるデータ収集が、個人データ保護の要件に違反している可能性があるとしている。

――OpenAI関連の動向

OpenAIはサム・アルトマン氏の別プロジェクトで直接にワールドコインとの関係はないものの、同社をめぐる動きの後で、投資家の思惑によるワールドコインの値動きへの影響とみられるものが観測されることもある。

韓国のプライバシー監視当局は2023年、ワールドコインとは別にアルトマン氏が率いているOpenAIに対して、韓国の国民687人の個人情報がChatGPT経由で漏洩したとして、360万ウォン(約41万円)の罰金を課していた。

OpenAIに対しては、起業家イーロン・マスク氏が2月29日に訴訟を起こしている。「人類の利益のためのAI」を開発するという当初の契約に反して、営利目的に汎用人工知能(AGI)を使用していると申し立てる格好だ。

(イメージ写真提供:123RF)

https://coinpost.jp/?p=514314

CoinPostに掲載された記事を、許可を得て転載しています。

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