ペンシルベニア州と暗号資産マイナーを環境団体が提訴

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 ペンシルベニア州は、暗号資産(仮想通貨)マイニング機器による二酸化炭素排出から住民を保護することに失敗したと、裁判所に提出された書類には書かれている。

 ペンシルベニアの環境NGO「セーブ・カーボン・カントリー」は26日、ストロングホールド・デジタル・マイニングを州裁判所に提訴した。同社は、暗号資産マイニング事業のエネルギーを生産するため、廃棄石炭やタイヤを燃やしていると報じられている。

 訴状によると、ペンシルベニア州北東部に拠点を置くストロングホールドは、エネルギーを大量に消費するビットコインのPoW(プルーフ・オブ・ワーク)を行うことで、大規模な環境破壊を引き起こしているという。

 また、ロイターの報道によると、この訴訟ではペンシルベニア州も被告とされている。

 同NGOのアーロン・フライワルド弁護士によると、暗号資産マイニングを許可することによって、住民にクリーンな環境を享受する権利を保証する憲法規定に違反したとして、州が訴えられたのは初めてのことだという。

 ストロングホールドは、年間600万トンの二酸化炭素を排出しているとされる。それにもかかわらず、ペンシルベニア州が暗号資産マイニングを禁止することも、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)のようなエネルギー消費の少ない方法を提唱することもしなかったと同NGOは指摘している。

 セーブ・カーボン・カントリーは、ストロングホールドが公的不法妨害、公共責任、過失を引き起こしたと主張している。同NGOは同社に対し、暗号資産マイニングに関連した汚染と、すでに発生した環境被害に対する補償を求めている。

 ストロングホールドの広報担当者はこの疑惑を否定し、同社は地元の土地と水を浄化していると述べた。

 「ストロングホールドの施設は何百万トンもの廃棄石炭を処分し、かつては荒廃していた1050エーカー以上の土地を埋め立ててきた。現在は、運動場や公園、釣り場として地域社会で利用されている」

●タイヤを燃やすことから環境に優しい方法に

 ストロングホールドは21年、暗号資産を生成するため、パンサー・クリークを買収した。これまで、同社は環境保護局の下で、未許可の大気汚染に関連する違反を7回指摘されている。

 同社は、複数の現場から廃棄石炭を輸送する以外に、タイヤを燃やして発電の燃料にしている。

 ペンシルベニア州クリーン・エア評議会の連邦政策提言コーディネーターであるラッセル・ゼルボ氏はクリプトニュースに対し、タイヤを燃やすと有害な大気汚染が大量に発生すると語った。

 「タイヤを燃やすと、ペンシルベニア州ネスケホニングにあるパンサー・クリーク工場からPAH(芳香族多環式炭化水素)汚染が増加する。PAH汚染には多くの発がん性物質が含まれている」

 さらにゼルボ氏は、持続可能なマイニングを行うために実施できる予防策はないと指摘した。

 「暗号資産マイニングは電力の完全な浪費であり、持続可能な方法はない」
 
 さらに、CCRI(暗号資産炭素ランキング研究所)の共同設立者であるレナ・クラーセン氏によると、ビットコインマイニングに使用されるエネルギー源に関して、より透明性を高めるべきだという。

 同氏はクリプトニュースに対し、オンチェーン取引を行うためにビットコインを保有する事業体は、スコープ3(バリューチェーン)の排出量の一部としてビットコイン関連の排出量に責任があると述べた。

 「エネルギー消費は、ビットコインが基礎としているPoWコンセンサスメカニズム固有のものだ。差し迫った気候危機を考慮すると、優先すべきは業界の脱炭素化である」

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/pennsylvania-state-crypto-miner-sued-for-polluting-environment.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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