日常の支払いにおける暗号資産の未来―スイス・ルガーノ市からの学び

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 暗号資産(仮想通貨)は、金融取引の未来に関する世界的議論を引き起こしており、特に日常の支払への導入に注目が集まっている。

 ビットゲットのグレーシー・チェン氏によると、スイスのルガーノ市は、暗号資産がどのように日常生活に溶け込めるかを示す先駆的な一例であり、世界中の都市のケース・スタディになっているという。

 チェン氏によると、ルガーノ市の住民の15%超が、請求書の支払、買い物、オンライン・サービスへのアクセスといった通常の金融活動に市独自のステーブルコインであるLVGAを利用している。

●銀行口座を持たない人々に対するデジタル資産の重要性

 米国などの先進国では、銀行口座を持たない人々は人口の6%と少ないが、アフリカなどの地域では52%を超えており、暗号資産には金融包摂を推進する上で革新的な可能性がある。

 デジタル通貨の利用は増加しているが、家計における伝統的な決済システムの普及率には未だ及ばない。

 しかし、潮目は変わってきており、世界的な決済企業や取引プラットフォームが暗号資産クレジットカードを発行し、ウィキペディア、マイクロソフト、グーグルなどの大企業はビットコイン(BTC)決済を採用している、とチェン氏は述べた。

 ルガーノ市自体が、暗号資産生活の生きた実験場になっており、住民や訪問者は日常の取引全てを暗号資産で行うことができ、地元の商店400店超が対応している。

 同市の成功は、ビットコイン、テザー(USDT)、LVGAでの取引を円滑化するプラットフォームを開発したビットフィネックスとの提携といった、戦略提携が一因となっている。

 こうした取り組みによって、デジタル通貨が例外ではなく当たり前である未来への道が切り開かれた。

 これらの進歩にもかかわらず、暗号資産の幅広い採用には課題がないわけではない。

 かつてクレジットカードが懐疑的に見られていたように、デジタル通貨は一般の認知度や新たな決済形態への移行の実際面において課題に直面している。

●現物ビットコインETF承認が転機に

 米国における現物ビットコインETF承認による暗号資産の「合法化」は、主流の金融への暗号資産の統合にとって大きな節目となった、と同氏は述べた。

 この規制当局による受容は、金融の進歩の合法で不可欠な一部としてのデジタル資産に対する消費者の信頼を築く上で極めて重要だ。

 マイクロストラテジー、スクエア、テスラなどの機関投資家が参加したことでさらなる信用が生まれ、より広範なブロックチェーン・サービスの利用や採用が促進した。

 この環境の変化は、銀行がアルトコインでローンを提供し、現在の暗号資産取引所のような形で運営され、効率的で低コストな金融取引を提供する上でDeFi(分散型金融)プラットフォームが中核的役割を果たす未来を示唆している。

 IMF(国際通貨基金)も最近の報告書で、デジタル通貨が辺鄙で分散した太平洋の国々における金融サービスの質を高め、金融包摂を著しく改善する可能性があると示唆している。

 この報告書では、各国で金融サービスへのアクセスに制限や不均衡があり、それが持続的な貧困や不平等の一因となっていると指摘された。

 さらに、これらの国々は送金に大きく依存しており、コルレス銀行関係の減少に対し特に脆弱になっている。

 IMFは、これらの問題に対処するため、デジタル通貨改革を受け入れることが太平洋の島国に複数のメリットをもたらす可能性があると考えている。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/the-future-of-cryptocurrency-in-daily-payments-lessons-from-lugano.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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