米財務副長官、暗号資産関連の不正金融に対抗するツールを議会に要請

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 米財務省のウォーリー・アデエモ副長官は、暗号資産(仮想通貨)に関連する不正な金融取引に対抗するための規制手段を提供するよう議会に呼びかけた。

 アデエモ氏は上院銀行住宅都市委員会の公聴会で、テロ組織に加えロシアや北朝鮮などの国家までもが暗号資産やデジタル資産を利用して正体を隠し、資金を移動させるケースが増えているとの懸念を表明した。

 アデエモ氏は、不正な金融活動を摘発することにある程度成功したことを認識しつつも、「悪意のある行為者」によるこうした行為を防止するため、規制を強化する必要があると主張した。

 「われわれは、テロリストが伝統的な金融商品・サービスの利用を好むとの判断を変えていないが、必要なツールをわれわれに提供するために議会が行動しなければ、こうした行為者によるデジタル資産の利用は拡大する一方だろうと懸念している」と述べた。

●アデエモ氏、暗号資産規制を呼びかける
 
 アデエモ氏は、こうした集団による暗号資産の利用が拡大していることを強調し、議会が対応しなければその利用は拡大し続けると警告した。

 同氏は、北朝鮮が複雑なサイバー強盗を利用して不正な収益を獲得し、資金洗浄を行っていることや、ロシアが制裁を回避し、戦争資金を調達するためにステーブルコインやテザー(USDT)のような代替決済手段に頼っていることなどを例として挙げた。

 これらの課題に対処するため、二次制裁の実施を含め、不正な金融取引を助長している海外のデジタル資産提供業者を標的とするツールを強化する法案を可決するよう議会に求めた。

 同氏はさらに、現在の法律が制定された後に登場した暗号資産ウォレット提供業者や暗号資産取引所のような事業体をカバーするため、規制のギャップを埋め、権限を拡大することの重要性を強調した。

 また、海外の暗号資産プラットフォームによってもたらされる管轄権に関するリスクに対処することの必要性も強調した。

 著名暗号資産企業であるコインベース・グローバルとサークル・インターネット・フィナンシャルもまた、チャック・シューマー上院院内総務とミッチ・マコネル下院議長に対し、ステーブルコインの規制を制定し、デジタル資産市場全体の構造を改善するよう求めた。

 両社は、明確な規制の欠如による規制の裁定リスクを指摘し、米ドルを参照する海外のステーブルコイン発行者を対象とするマネーロンダリング防止策と制裁規制の拡大を促した。

 アデエモ氏は、財務省が以前に委員会に改革を勧告したことを確認し、これらの問題に対処するために議員とともに取り組む意思があると表明した。

●国連、不正な資金調達におけるテザーの役割を指摘

 最近の国連報告書は、東南アジアにおけるサイバー詐欺やマネーロンダリング活動でのトロン(TRX)利用が増えていると指摘している。

 報告書によると、闇取引にテザーを利用する洗練されたマネーロンダリングを行うグループが急増しているという。

 特に違法に運営されているオンラインギャンブルプラットフォームは、暗号資産を利用したマネーロンダリングで広く利用される手段となっており、テザーが好んで選ばれていると指摘している。

 テザーはこれらの指摘に反論し、法執行機関との協力やテザーのトレーサビリティを強調した。

 テザーは国連の報告書に対し、DOJ(司法省)、FBI(連邦捜査局)、USSS(米国シークレットサービス)を含む世界的な法執行機関との協力により、伝統的な銀行システムを凌駕する比類なき監視能力を実現していると主張した。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/us-treasury-deputy-secretary-urges-congress-for-tools-to-tackle-crypto-related-illicit-finance.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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