EU市場監視当局、暗号資産取引の90%が少数の取引所に集中していると警告

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 EU(欧州連合)の証券規制当局は10日、取引活動が一握りの暗号資産(仮想通貨)取引所に集中していると警告した。特に、バイナンスだけで市場全体の約50%を支配しているという。

 ESMA(欧州証券市場監督機構)の調査によると、全暗号資産取引の約90%がわずか10社の取引所に集中している。また、市場の流動性に大きなばらつきがあり、大規模な取引所ほど高い流動性を有する傾向があると指摘した。

 「これは(規模の経済を理由に)効率性の観点からは有利かもしれないが、主要な資産や取引所での障害や不具合が暗号資産エコシステム全体に及ぼす影響について、かなりの懸念がある」とESMAは述べた。

●MiCA規制承認も暗号資産市場でのユーロ普及にはいまだ至らず

 暗号資産市場で使用されている法定通貨を調査したところ、米ドルと韓国ウォンに強く依存していることが明らかになった。一方、ユーロは取引の約10%にとどまり、そのシェアは比較的小さくなっている。

 さらに、現在のところ、MiCA(暗号資産市場規制)は暗号資産市場におけるユーロ使用量の増加にはつながっていないようだ。

 ESMAは、現在の影響力の低さにもかかわらず、MiCAは24年の施行時には成長の起爆剤としての役割を果たす可能性があると考えている。こうした影響は、MiCAが市場内の投資家保護強化に重点を置いているということから生じると予想される。

●ESMA、暗号資産のセーフ・ヘイブンとしての役割に異議

 さらにESMAは、市場全体が苦境にある時期に暗号資産がセーフ・ヘイブン(安全な逃避先)として機能するという考えに異議を唱えた。ESMAの報告書は、暗号資産と株式の間にある程度の連動性があると指摘する一方、伝統的にセーフ・ヘイブン資産として認められてきたゴールド(金)と一貫した関係性を維持していないことにも注目している。

●認可取引所の不明確な拠点

 ESMAはまた、暗号資産取引特有の不透明性により、その起源を特定することが困難であると主張。しかし、暗号資産取引所のほとんどは、タックス・ヘイブン(租税回避地)とされる地域に拠点を置いていることがわかっている。

 ESMAによると、取引の約55%はEUのVASP(暗号資産サービスプロバイダー)枠組みの下で認可を受けた暗号資産取引所で実行されている。しかし、これらの取引のかなりの部分がEU域外で行われている可能性が高いという。

●ビットコイン・イーサリアム・テザーが暗号資産市場を独占

 他にも、20年以降、活発に取引されている暗号資産の数が増えても、市場内の著しい集中化は緩和されていないことがわかった。23年12月時点で、ビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)、ステーブルコインのテザー(USDT)のわずか3つの暗号資産が時価総額全体の74%、年間取引量の55%を占めていた。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/european-union-warns-90-pct-crypto-trading-through-few-exchanges.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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