ビットコインの新規格「Runes」、半減期後の需要殺到でBTC取引手数料が急騰

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●取引手数料が過去最高値を達成

半減期を完了した暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の取引手数料が、過去最高値に達し、大きな話題となっている。

半減期では、マイナー(採掘業者)が獲得するブロック報酬が半分になることから、その後のマイニング事業における採算性が懸念されるが、今回の半減期では当面は、その懸念が払拭される結果となった。

ビットコインは20日、日本時間午前9時9分に4回目の半減期を完了。ViaBTCによって採掘された半減期ブロック84万には、合計3050のトランザクションが含まれ、37.6BTC(執筆時現在、約3億7678万円)の手数料が支払われた。

マイナーへのブロック報酬は50%減少したが、同日の平均取引手数料は127.9ドルと急騰した。これは、前日の平均手数料の約6倍にあたる。また、YChartsによると、ブロック報酬と取引手数料を含むマイナーの同日の総収益は、1日で過去最高となる1億780万ドル(約166億円)に達した。

このような手数料高騰の背景には、ビットコインの新たなトークン基準である「Runes」プロトコルが、半減期と同時にローンチしたことが大きく関連している。

●Runes(ルーン)とは

Runesは、「Ordinals(オーディナル)」の開発者であるCasey Rodarmor氏による新しいプロトコル。ビットコイン上でNFT(非代替性トークン)の発行を可能にしたもので、半減期と同じブロック高84万でローンチした。

ここ数年間でOrdinalsへの熱狂が、ビットコインのエコシステムに新風を吹き込み取引が活発化したことを受け、Runesはローンチ前よりコミュニティの大きな注目を集めていた。

Runesは、ユーザーがオンチェーンでトークンを発行(エッチング)したり鋳造(ミント)したりできるという点ではOrdinalsに似ているが、Ordinalsが「代替不可能」なNFTを作成するのに対し、Runesは、ミームコインのような代替可能なトークンを作成することができる。

Runesは、現行のビットコインの代替トークン標準(BRC-20)を改善するもので、BRC-20が既存のプロトコルを活用しているのに対し、Runesはより効率的になるようゼロから設計されている。

また、BRC-20がアドレス(ウォレット)残高の管理方式として、イーサリアムと同様、アカウントに直接記録するアカウント方式を使用しているのに対し、RunesはUTXO(Unspent Transaction Output=未使用トランザクションアウトプット)方式を使用する。UTXOはユーザーが受け取ったものの、使用していないビットコインの量を表している。

Rodarmor氏は、BRC-20などのトークン基準が、オフチェーンのデータに依存する傾向があるのに対し、Runesでは完全にオンチェーンになるため、UTXOモデルが優れていると主張する。

●Runesが手数料高騰に影響

Runes初のプロジェクトは、Rodarmor氏自身による「UNCOMMON・GOODS」プロジェクトだが、Runesの関連情報を提供するrunealpha.xyzによると、すでに6500を超えるRunesがエッチングされている。

仮想通貨データプラットフォームDuneの分析によると、Runesの取引量がビットコイン全取引量の57%を占めており、手数料の高騰に寄与しているようだ。

ビットコインとマクロ経済の調査企業The Bitcoin Layerによると、マイナーのブロックごとの収益全体に占める手数料の割合は、過去最高の75%に達したという。

Runesは「本質的に全員が負ける愚か者のゲーム」のようだとしながらも、ブロックスペースを占有することから、ライトニングネットワークのようなレイヤー2のスケーリングソリューションの開発と拡大の必要性を強調することになると、同社は見ている。

また、このような状況は、「ネットワークに対する需要が現在よりも桁違いに大きくなった、今から数十年後のビットコインのマイニング経済に、何が起こるのかを示す予告編のようなものだ」と指摘した。

(イメージ写真提供:123RF)

https://coinpost.jp/?p=526128

CoinPostに掲載された記事を、許可を得て転載しています。

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