スウェーデン中銀、デジタル・ユーロの利用拡大でもクローナは排除されないと指摘
デジタル・ユーロが採用されても、スウェーデン・クローナに取って代わることはない、とスウェーデンの中央銀行が語った。
スウェーデン国立銀行(中銀)は、14日に公開されたスタッフメモの中で、デジタル・ユーロにはスウェーデンにとって潜在的利益があるとの見方を示唆した。同行は、より強固で競争力のある決済システムの可能性を強調した。
同行は、伝統的な銀行預金からの若干の移行はあるかもしれないと付け加えた。しかし、同行は、デジタル・ユーロの個人保有額に上限を課す案があるため、影響は限定されると考えている。
デジタル・ユーロの利用は、ユーロ圏外に広がる可能性がある。同通貨はユーロ圏諸国向けに設計されているが、ある案では、ECB(欧州中央銀行)との合意を通じて非ユーロ圏の加盟国もこのシステムに参加できる。これにより、これらの国々の住民や企業は、ユーロ圏の住民や企業と同条件でデジタル・ユーロを利用できる可能性がある。
スウェーデンの中央銀行はこの合意の影響を重視しておらず、制度的な要因でクローナが「排除」されることはないと主張している。まず、政府が関与する決済はスウェーデン・クローナで行われるため、主要通貨としての地位は確保されるという。
「例えば、税金をスウェーデン・クローナで支払うことを考慮すると、給料もスウェーデン・クローナで受け取ることを好む。そして企業が主要な支出である給料をスウェーデン・クローナで支払うならば、顧客への請求もスウェーデン・クローナで行うことを好む」と同行は述べた。
また、スウェーデン国民は、過去にユーロ圏を訪れていたり居住していたりしなくても、デジタル・ユーロを利用できる。一方、スウェーデン企業は、デジタル・ユーロ決済を採用できるが、ユーロ圏の企業と同様、すぐに直接銀行口座に移さなければならない。
●EU、デジタル・ユーロの調査を推進
ECBは、23年末にデジタル・ユーロ・プロジェクトの2年間の計画段階を開始した。規則を最終決定し、民間部門のパートナーを選び、試験・実験を行うことなどが、この期間の目標だ。
公開前に改訂される可能性があるが、EU(欧州連合)の草案によると、デジタル・ユーロの利点は大きい。一方、デジタル・ユーロを持たない場合の潜在的なマイナス面は相当なものになる可能性がある。
この規則案では、デジタル形式で個人が保有できる金額を制限する権限がECBに与えられる。3000-4000ユーロの制限が議論されている。
●デジタル・ユーロがスウェーデンのeクローナを左右
デジタル・ユーロの潜在的なマイナス面は、スウェーデン・クローナの安定性を脅かす可能性があることだ。高インフレは価格変動に繋がる可能性がある。これがスウェーデンで問題になった場合、企業はユーロでの値付けに切り替えるかもしれない。人々も、クローナの代わりに(より安定した通貨とみなされる)ユーロでより多くの金額を保有することを選ぶかもしれない。この「質への逃避」によって、クローナが弱体化する可能性がある。
さらに、デジタル・スウェーデン・クローナ、あるいはeクローナ発行の決定は、デジタル・ユーロの動向に左右される。同行によると、デジタル・ユーロが広く利用されるようになった場合、eクローナはスウェーデンにおけるスウェーデン・クローナの地位を強化することになるという。
加えて、デジタル・ユーロのために構築された技術や規制を活用することで、eクローナ発行のコストや複雑さを大幅に削減できる。最後に、両方のデジタル通貨が共存することが、よりスムーズな国際決済に繋がる可能性がある、と同行は語った。
(イメージ写真提供:123RF)
https://cryptonews.com/news/digital-euro-wont-push-out-swedish-krona.htm
This story originally appeared on cryptonews.com.
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