マウントゴックス債権者への弁済、流動性不足がBCH下落に拍車か
ビットコインキャッシュ(BCH)は先週、大幅な下落に見舞われ、20%下落した。これは、4月以来最も急激な値下がりとなった。
14年に大規模なハッキング被害を受けたマウントゴックスが、保有する暗号資産(仮想通貨)で債権者への返還を開始する意向を明らかにした後、この下落が生じた。
これらの資産には、約7300万ドル相当のビットコインキャッシュが含まれている。これは、同トークンの日間取引量の大部分を占める額だ。
●流動性不足でビットコインキャッシュの下落が悪化
パリに拠点を置くカイコなどの市場観測筋は、中央集権型取引所における流動性の欠如問題のまん延によって、この下落が悪化したと強調した。
資産価格に大きな影響を与えずに大規模な取引を行うことの容易さを示す流動性は、著しく不足している。
カイコは、流動性が不十分な市場では、中規模の売買注文でも不釣り合いなほど大規模な価格変動が生じ、ボラティリティが高まる可能性があると指摘した。
さらに、取引の実際の約定価格と見込み価格との差を示すスリッページが、マウントゴックスが発表を行った5日に大きく増加したことが、カイコの分析で明らかになった。
バイビットやイットビットなどのプラットフォームでは、ビットコインキャッシュのスリッページが1パーセント未満から3.5%に急増し、流動性減少が市場安定性に与える影響が浮き彫りとなった。
暗号資産市場における最近の動きによって、流動性の問題は悪化している。
22年下旬のFTXとその関連マーケット・メーカーであるアラメダ・リサーチの破綻によって、ビットコインキャッシュなどのアルトコインの流動性備蓄は著しく減少した。
この減少で市場に空白が生じ、ボラティリティが高まった際にスムーズな取引業務を行い価格を安定化させることのできる組織が減少した。
アルカのCIO(最高投資責任者)であるジェフ・ドーマン氏は、現在の流動性危機を、09-10年の信用収縮の際に従来の金融市場で見られた混乱になぞらえた。
同氏は、最近のリンクトインへの投稿で、暗号資産分野からの大手マーケット・メーカーの離脱が長期的な影響を及ぼし、マウントゴックス債権者への返済といった外部的要因による急激な値動きに対する脆弱性が高まっていると指摘した。
ドーマン氏は、「十分なマーケット・メーカーが不足し、個人投資家がミームコインやエクイティなどのより投機的な資産に集まっているため、暗号資産市場には売り圧力を吸収するために必要なバッファーが欠けている」と説明した。
●投資家は買い場を得る
ビットコイン(BTC)は様々な要因で売り圧力に晒されているが、アナリストらの予想によると、投資家はこの売り圧力を魅力的な買い場だと考えている。
投資会社のコインシェアーズは、デジタル資産投資商品に1週間で計4億4100万ドルが流入したと伝えた。
しかし、ETP(上場投資所品)の取引量は比較的少ない79億ドルに留まった。これは、夏の間の典型的なパターンと一致している。
歴史的に見て、暗号資産市場にとって7月は強気の月であり、リターンの中央値は9%だ。多くの投資家が、この傾向は続くと予想している。
さらに、米国のビットコインETFには、過去2日間で4億3800万ドルが純流入している。
暗号資産市場のセンチメントをさらに後押しする別の明るいニュースとしては、ドイツの政府機関が最近、様々な取引所から2億ドル超に相当するビットコインを回収している。
(イメージ写真提供:123RF)
This story originally appeared on cryptonews.com.
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