進むキャッシュレス化:ステーブルコイン決済入門

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 ●ステーブルコインとは

 ステーブルコインとは、暗号資産(仮想通貨)取引をより実用的にするために設計されたデジタル通貨の一種だ。ほとんどのステーブルコインは、米ドルやユーロなどの法定通貨に裏付けられている。このため、暗号資産の価格変動を懸念するユーザー間で、ステーブルコインはブロックチェーンとデジタル資産を決済に利用するための入り口として機能してきた。

 多くのデジタル資産と同様、ステーブルコインは金融システムへの広範で包括的なアクセスを提供し、迅速かつ効率的な価値の交換を可能にする。22年、法定通貨に裏付けられたステーブルコインの取引量は6兆8700億ドルに達し、ネットワーク間の価値の移動という点で、マスターカードとペイパルの両方を上回る勢いを見せた。

●ステーブルコインはどのように決済に利用されるか

 ステーブルコインを決済に利用することで、ブロックチェーン技術の利点であるセキュリティ、透明性、コスト効率、スピードの向上と、伝統的な法定通貨や現地通貨の信頼性と親しみやすさを組み合わせることができる。

 ステーブルコインへの需要が高まるにつれ、特に現金使用率が歴史的な低水準にある中、ステーブルコインを代替決済手段として検討する個人や企業が増えている。1週間以内に現金で買い物をしなかったという米国人は、18年の29%から41%に増加している。消費者需要の高まり、会計の迅速化、人件費の削減、セキュリティ強化に注目し、ステーブルコイン決済への移行にメリットを見出す企業経営者もますます増えている。

 ステーブルコイン利用への注目の高まりは、クレジットカードやその他の伝統的決済手段に改善を加えることができるというブロックチェーンの利点が要因となっている。

 ステーブルコインは、現行の金融システムにおける仲介者の役割を減らし、店舗と消費者間の直接的な取引を支援し、仲介コストを削減する。ステーブルコインは暗号的に安全であるため、ユーザーは二重支払いやその他の問題の多い決済処理手段を経ることなく、ほぼ瞬時に取引を完了することができる。

 ステーブルコインは分散型台帳技術を基盤に構築されているため、スマートコントラクトを介した決済のプログラマビリティを提供し、有用な製品やサービスのイノベーションを促し、伝統的なウェブ2経済と金融の未来であるウェブ3を結びつけることができる。

 新たなデジタル決済手段の導入は、効率性の向上、競争の激化、金融包摂の拡大、イノベーションなど、顧客と社会に大きなメリットをもたらす。

●ステーブルコイン市場の概要

 法定通貨に裏付けられたステーブルコインの時価総額は現在、1000億ドルを超えている。ステーブルコイン市場は、サークルのUSDコイン(USDC)、テザーのテザー(USDT)など、既存企業数社がまだ大部分を占めているが、ペイパルUSD(PYUSD)やリップルUSD(RLUSD)も最近、米ドル連動型ステーブルコイン市場に進出している。

 リップルUSDは、1ドルの価値を一定に保つよう設計された、決済のためのステーブルコインだ。現金と現金同等物の分離された準備金によって完全に裏付けられ、米ドルと1対1で交換可能となっている。リップルUSDはXRPレジャーとイーサリアムブロックチェーン上で発行され、即時決済と容易な法定通貨・ステーブルコイン間のオンランプ・オフランプを可能にする。米ドルをオンチェーンで保有・購入・取引したいと考える取引所・送金プロバイダー・決済サービスプロバイダーにとって、リップルUSDは高速決済、マルチチェーン発行、プログラム可能な金融を提供し、全く新しいユースケースと収入源への道を切り開くことができる。

 リップルUSDは、その特徴として規制遵守に重きを置いており、開発者、決済プロバイダー、取引所などは、リップルが独自に提供できる安定性と透明性から利益を得ることができる。暗号資産と金融が交差する点における10年以上の経験と、規制当局や政策立案者と協力してきた実績をもって、リップルはリップルUSDでデジタル資産経済を加速させている。

●ステーブルコイン規制について

 世界中の他の暗号資産業界と同様、この新たな資産クラスに対する規制はすでに具体化し始めており、暗号資産規制よりも多くの政治的支持を得る傾向にある。ステーブルコイン規制は、北米やヨーロッパからアジア、最近ではアラブ首長国連邦まで、世界中で急速に進んでいる。

 米国では最近、「決済用ステーブルコイン明確化法」が超党派の支持を得るなど、規制の進展が見られる。この法案が可決されれば、ブロックチェーン業界の民間プレイヤーが主導するステーブルコインのイノベーションが解き放たれ、消費者流通(ソーシャル、コマース、金融)を手がける誰もが、規制対象のステーブルコイン発行者と提携できるようになる。

(イメージ写真提供:123RF)

https://ripple.com/insights/going-cashless-stablecoin-payments-101/

This story originally appeared on Ripple Insights.

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