SEC委員長、暗号資産取引所による「資金混同」が顧客資産を危険に晒す可能性を懸念

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 SEC(米証券取引委員会)のゲーリー・ゲンスラー委員長によると、暗号資産(仮想通貨)取引所は取引、保管、マーケティングサービスといった活動の各部に境界を設けておらず、これは活動の「資金混同」につながり、顧客の利益を危険に晒す可能性があるという。また、同氏はSECが主要ステーブルコインと大手取引所との繋がりについても調査していると述べた。

 同委員長はブルームバーグに対し、「暗号資産は、顧客に先んじて取引するプラットフォームに関するこうした課題を多数有している」と語り、次のように主張した。

 「実際、彼らは顧客に対してマーケットメイクをしているため、顧客に不利な取引をすることもしばしばある」

 この発言の直前には、SECが暗号資産市場及びサイバー関連の脅威からの投資家保護を担当する部署に約20名の枠を追加し計50名としたことが発表された。暗号資産及びサイバーユニットと呼ばれるこの部署は、以前はサイバーユニットと呼ばれていた。この増員によって「サイバーセキュリティに関する開示と統制の問題を引き続き特定しつつ、暗号資産市場における不正行為を取り締まる体制を整える」ことができる、とゲンスラー氏は述べた。

 ゲンスラー氏は、暗号資産業界の多くの分野に対する声高な批判者としての地位を確立している。同氏は、デジタル資産の大半はSECの規制範囲下にあり、暗号資産取引プラットフォームはSECに登録すべきだと主張した。これを念頭に、SECは執行活動の強化を決定しているという。

 同時に、SECはステーブルコイン市場も厳重に監視しており、3つの主要ステーブルコインであるテザー(USDT)、USDコイン(USDC)、バイナンスUSD(BUSD)が大手取引所と繋がりを持っているのは偶然ではないことをゲンスラー氏は見出した。

 「これが偶然の一致だとは考えられない」と同委員長は述べた。

 ゲンスラー氏はAML(マネーロンダリング防止)及びKYC(顧客確認)対策についても言及し、「3大ステーブルコインは取引所が自社プラットフォームでの取引を円滑化し、潜在的にAML及びKYCを回避するために作られた」と語った。

 ゲンスラー氏のステーブルコインに対するアプローチは、ジャネット・イエレン米財務長官と共通しているようだ。イエレン氏は10日の上院銀行委員会の公聴会で、ステーブルコインは「金融安定性へのリスク」を表しており、新たな規制の対象にすべきだと述べた。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、イエレン氏は上院議員に対し「連邦での一貫した枠組みがどうしても必要だ」と語ったという。

 ゲンスラー氏は4月にペンシルベニア大学キャリーロースクールの主催した会議に出席し、基調発表でデジタル資産の未来について言及した。一部の暗号資産業界観測筋にとっては、こうした資産に対する規制当局の注目が増していること自体が悪いニュースだ。

 あるユーザーは「SECが関わってくると、デジタル資産の未来には別れを告げることになるかもしれない」とツイートした。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/us-sec-chair-worries-commingling-by-crypto-exchanges-could-endanger-clients-assets.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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